ソーシャルメディアの興隆と、マスメディアの立ち位置オルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2011年02月10日 17時36分 公開
[森川拓男,ITmedia]

マスメディアとSNSの微妙な関係

 チュニジア然り、エジプト然り、SNSを利用した対政権運動の広がりってのがクローズアップされているんですが、実はその動きってのは非常に局所的で、その動きを日本から本気でトレースするなんてのは至難の業。ということで、その動きを知るのはマスメディアの報道を通じてというコトになります。マスメディアの没落とSNSの興隆論の中で、SNSの興隆を伝えるのは実は結局マスメディアという図式。ふむ・・・

 北アフリカ地域の紛争を眺めながら”メディア”の立ち位置について考える:THE SHOW MUST GO ON


 書店では、一時期の「クラウド」「Web 2.0」「Twitter」と入れ替わるように、「Facebook」を取り上げた雑誌や書籍が並んでいる。テレビなども取り上げており、映画「ソーシャル・ネットワーク」のヒットと相まって、「Facebook」が一般化しそうな勢いだ。

 それを後押ししているのが、海外の反政府の動きとSNSの関係かもしれない。

ブロガー ブログ 反政府活動とSNSの関係
岩永慎一氏 THE SHOW MUST GO ON 北アフリカ地域の紛争を眺めながら”メディア”の立ち位置について考える
小林啓倫氏 シロクマ日報 「革命のファンページ」では何が語られているのか
エジプトの反政府デモと、リアルタイム時代のリテラシー
櫻吉清氏 少しでもパラノイアになってみる "ソーシャルメディア革命"の感想

 実際のところ、これらの運動にソーシャルメディアがどのぐらい関係あるのか、現状では分からない。小林啓倫氏「シロクマ日報」の「革命のファンページ」では何が語られているのかで言うように「本当はどこまでソーシャルメディアが重要だったのかは、一連の騒動が落ち着いた後で、多角的に調べてみないと判断できない」からだ。ただし、「こうして遠く離れた国でも現場の声に接することができ、また言葉の壁を越えて彼らの息づかいを感じられるという点だけは、ネットがもたらした革命的な変化だと言うことができる」のは間違いない。

 ここで注目したいのは、岩永慎一氏「THE SHOW MUST GO ON」の北アフリカ地域の紛争を眺めながら”メディア”の立ち位置について考えるで取り上げられている、「マスメディアの没落とSNSの興隆論の中で、SNSの興隆を伝えるのは実は結局マスメディアという図式」だ。

 いくら、TwitterやFacebookなどによって海外の情報がリアルタイムに入ってきても、「アラブの言葉を読み書きできる人がいなければ、まったく理解できない」。英語であれ、中国語であれ、ハングルであれ、同じことだ。翻訳ツールなどを使うという手はあるが、うまくいかないことも多いだろう。さらに、「一つひとつのTweetとかを追いかけても全然意味が無いわけで、ある一定の時間軸とかタイミングでそれらを切り取って総括して伝えてくれる『媒体』が無いと、結局のところ、何だか分からん」ということになる。そこに、「媒体」としてきちんと情報を整理して伝達するマスメディアの役割があるのだが……。

 合わせて読んでおきたいのが、岩永氏の気がついたら普通の雑誌ですら読む余裕が無い自分にとって情報源について今一度見直すというエントリー。実に考えさせてくれる。そして、小林氏の「若者による犯罪が増えている」という感覚、マスコミが原因なの?も、ぜひ読んでほしい。――「しかし47NEWSの記事だけを見て、『やっぱりマスゴミが』と言い切ってしまうのも、『マスゴミ』と同じ落とし穴に落ちる結果になってしまうはずです。自分が確信を持って言えることをサポートしてくれる情報ほど、疑いの目を持って接してみること。ニュース過多の時代にはそうした態度が必要であり、またそれができる環境に私たちはいるのではないでしょうか」。

ツイートしてほしいこと、してほしくないこと

 渋谷のイベント会場で、会場の様子をiPhoneで撮影しているときには何も言われなかったのですが、画面を撮影しようとしている様子を係員の人が発見するとすかさず「撮影禁止です!」と制止されてしまいました。

 ニンテンドー3DS イベントのツイートはして欲しいけど画面の写真はNGというジレンマ:平凡でもフルーツでもなく、、、


 もはや、当たり前となってきた感があるTwitter。しかし同時に、ツイートによる炎上事例なども、チラホラ出ている。誰もが簡単につぶやけるだけに、深く考えずにツイートして問題となるケースも多いのだ。

 大木豊成氏「走れ!プロジェクトマネージャー!」のツイッターに書いてはいけないことでは、Twitter利用時のちょっとした心構えを紹介している。Twitterには書いてはいけないことがあるというのだ。それは、「誰かの批判や、仕事の愚痴など」だという。つまり、ネガティブな話題だ。「ネガティブなツイートは、ネガティブなツイートを呼び込むことが多いように感じます。会社の愚痴を書いている人を見て、会社に不満を持っている人が『そうだよね』というように賛同したり」と、大木氏は指摘。確かにその通りだと思った。

 一方、Twitterにはマーケティングツールという側面もあり、利用が増加傾向にあるようだ。だが、佐々木康彦氏「平凡でもフルーツでもなく、、、」のニンテンドー3DS イベントのツイートはして欲しいけど画面の写真はNGというジレンマといったケースもあるらしい。イベントのツイートはしてほしい。しかし、中身は「撮影禁止」というのだ。これはマーケティング的にどうなのだろうか。

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