中小企業の活力を高めるIT活用の潮流 豊富な事例を紹介

“オールジャパン”体制で中小企業を支援中小企業の活力を高めるIT活用の潮流(1/2 ページ)

産官が一丸となり、日本のIT産業を真剣に考えていく時期に差しかかっている。ITコーディネータ協会もこの潮流を中小企業支援に活用していく。

» 2011年02月14日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]
ITコーディネータ協会の高橋明良専務理事 ITコーディネータ協会の高橋明良専務理事

 ITコーディネータ(ITC)協会は、通商産業省(現・経済産業省)が提唱した日本の情報化戦略の一環として、2001年2月に発足した。「ITコーディネータ」と呼ばれるプロフェッショナル人材の認定や育成を通じて、企業や団体における戦略的なIT化の支援などを目的に活動する。

 発足以来、ITコーディネータの数は着実に増えており、現在までにのべ9500人を超える。ITコーディネータ同士のつながりも活発で、全国で約200の下部組織が存在する。さらなる増員を目指し、「ITコーディネータの活躍の場を多く作ることで、その仕事に対する魅力を発信し、中小企業に向き合う人材を輩出していきたい」と、ITC協会の高橋明良専務理事は述べる。

 ITC協会が特に力を入れているのが中堅・中小企業の支援だ。日本企業の9割以上が中小企業と言われるように、彼らは日本経済を下支えし、日本の発展に大きく寄与しているといっても過言ではない。中小企業に対してITC協会は、「IT経営応援隊」や「中小企業支援SaaS利用促進コンソーシアム」などを通じて、IT活用による経営改革を支援している。

IT活用は経営に対する投資

 現在、中堅・中小企業を取り巻く経済環境は厳しい。リーマン・ショック以降、その度合いはさらに顕著になっている。企業倒産が相次ぐ中、政府は借入金の返済期間延長を促す「中小企業金融円滑化法」を施行するなどして倒産を抑制しているのは周知の事実だ。高橋氏は、中小企業が今後生き残るためには、新規顧客の開拓、既存顧客の満足度向上、業務の効率化が重要だと説く。それをサポートするツールがITだという。

「必ずしもITありきではないが、企業課題を解決するための一手段としてITが担う部分は決して小さくない」(高橋氏)

 しかし、ITの活用を促しても、そのためには大なり小なりの費用が掛かってしまう。ただでさえコスト削減に躍起になっている中堅・中小企業にとって、さらなる費用の捻出は当然ハードルが高い。「IT投資の効果が明確に分かれば、あとは経営者の決断次第でいかようにもなる。問題なのは、これまで投資に対する成果を企業にしっかりと打ち出せなかった点である」と高橋氏は指摘する。今後は、IT活用に対して前向きな発想を企業経営者に持ってもらうよう、官民が一丸となって経営におけるITの重要性を訴えていく必要があるという。

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