マルウェアの歴史――1990年から2010年

世にコンピュータウイルスが登場してから数十年が経った。ブレークスルーを迎えた1990年から現在までの変遷をみていこう。

» 2011年11月12日 06時00分 公開
[McAfee Blog]

(このコンテンツはマカフィー「McAfee Blog」からの転載です。一部を変更しています。)

 1990年は政府と幾つかの大学だけがインターネットを利用していました。当時、マルウェアの数は357種類だけでしたが、デスクトップPCの普及に伴い、セキュリティが必要とされてきました。そのころのデータ漏えいといえば、感染したフロッピディスクをPCに挿入するか、感染したメールの添付ファイルを開くことが原因で、いわゆるアンチウイルスの時代でした。

 セキュリティの必要性は、インターネットが普及し、社内外にネットワークを構築する企業が増加するにつれ拡大していきました。これが、ネットワークセキュリティの時代です。

 そして、企業がWebをフル活用するようになった今、情報セキュリティのいたちごっこはさらに進展しました。アプリケーションセキュリティの時代です。大企業がソフトウェアを整理してロックし、データを保護する能力に長けてくるにつれ、攻撃者は小さなターゲットを狙うようになりました。今、消費者の日々のデジタルライフは危険に晒されています。感染したWebページ、インスタントメッセンジャー、フィッシング詐欺、スマートフォンのウイルス、テキストメッセージを使った詐欺など、危険は至るところに潜んでおり、最近ではMacが格好のターゲットとして頻繁に狙われるようになっています。

 この20年、eコマースおよびソーシャルメディアの飛躍的な発展に伴い、サイバー犯罪は爆発的に増加しています。マルウェアの数は年間500未満から5500万超にまで増大し、サイバー犯罪は、ゼロ段階から数十億ドル規模の産業にまで進化してしまいました。

 1995年には8069種類のマルウェアが検出されました。20通に1通がスパムメールであり、Melissaウイルスが数十万台のPCに感染しました。

 2000年になると5万6342種類のマルウェアが検出され、標的はPCからMacへも広がり、スマートフォンを狙うCabirウイルスなどが出現しました。ワームの「I Love You」に感染したPCは数百万台に上り、同じくワームのMyDoomが世界全体のインターネット接続速度を10%低下させ、結果として380億米ドルの被害が生じました。

 2005年になると、検出されたマルウェアは16万4000種類にもなり、Mac OS Xを狙った初めてのウイルスや、携帯端末をターゲットとしたウイルスが83種類検出されました。米国では、1万8000近くの悪質なWebサイトを通じて、5700万人がフィッシング詐欺の被害に遭いました。この年、ワームのConficker、トロイの木馬のZeus、ウイルスのKoobface、Mac OS Xを標的にしたトロイの木馬Applescript.THT、ボットネットのStorm botnet、そしてiPhoneをターゲットにした最初のウイルスIkeeが出現しました。

 2010年にはタブレットにも5400万のマルウェアが拡散し、電子メール全体の90%以上がスパムメールになりました。10代の27%が家族のPCをウイルスに感染させてしまい、また、42万件近くのフィッシングサイトが検出されました。スパイウェアのOpinionSpy、トロイの木馬のBoonana、偽セキュリティソフトのMacDefenderがMacに感染し、ハッカーがSkypeのIMサービスを乗っ取り、マルウェアを拡散させました。さらに、トロイの木馬のGeminiとZitmoが位置情報データを収集し、金融取引情報を盗み出しました。

 ますます増大するマルウェアからご自身のPCや携帯端末を保護するために、正しいセキュリティソフトを積極的に利用しましょう。

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