日立、統合運用管理ソフト「JP1 V10」を発表 運用自動化やMDM対応を強化

日立はJP1のメジャーアップデートとなるバージョン10をリリース。新たに運用を自動化し作業負荷を提言する新製品「JP1/AO」が加わる。顧客システムのリモート監視やMDM対応のためのサービス製品も投入する。

» 2012年10月15日 13時00分 公開
[ITmedia]

 日立製作所(日立)は10月15日、統合運用管理ソフト「JP1」の新版を発表した。今回はメジャーアップデートとなり、バージョンは「10」となる。

JP1/AOの管理画面トップ。実行したい業務を選択するだけで運用できる

 バージョンアップの背景として日立は、企業システムのクラウド化や新しい端末(スマートフォンやタブレットなど)の増加を挙げる。これらが運用管理業務の複雑化に拍車をかけているという考えだ。その上でこれからの運用管理ツールには「ベストプラクティスに添った簡単な運用を」「誰でも簡単に」実行できることが必要だと指摘する。

 上記課題を解決するため、JP1 V10には運用を自動化するための新製品「JP1/Automatic Operation」が加わる。JP1/AOはこれまで管理者が手順書を参照しながら手作業で実施していたような業務を自動化する製品。例えばクラウド化したシステム基盤においては「仮想サーバを新たに作成する」といった業務が頻出するが、ネットワーク設定やストレージ領域の確保といった設定をマニュアルで行う(しかも複数の管理ツールを行き来する必要がある)のではなく、JP1/AOの管理画面上で実行したいコンテンツを選択するだけで設定を完了できる。日立の検証によると、作業ミスを防ぎながら仮想サーバの新規作成に要する時間をおよそ60%低減できたという。負荷の削減だけではなく、運用担当者の世代交代をスムーズに進めるためにも効果的だと考えられる。

 上述したJP1/AOのコンテンツは、日立のノウハウが盛り込まれたものとなっており、用途ごとにテンプレートとして提供される。当初同梱されるものに加え、サポートサービス契約ユーザーはダウンロードして追加することもできる。コンテンツは今後も増やす計画だという。

 なお社内の手順や用語に沿う形で管理画面をカスタマイズしたいという要望に対しては、ジョブ管理とネットワーク管理の画面をカスタマイズできるSDKを提供する。

2つのサービス製品を投入

 その他、JP1 V10のリリースに合わせて「JP1システム監視サービス」および「JP1スマートデバイス管理サービス」の2つを投入する。いずれもパッケージではなくサービスとして提供する製品となる。

 JP1システム監視サービスは、日立の運用チームがリモートで顧客システムを監視することで、システム障害の予測検知に加え、対処策の提示や原因究明までを提供するサービス。蓄積したデータを定期的に分析することで、障害の予防だけでなくシステムへの投資計画策定も支援する。JP1スマートデバイス管理サービスはいわゆるMDM(Mobile Device Management)ソリューション。数万台規模の可用性を有しながら、パッケージではなくSaaS型で提供するため、日進月歩のスマートデバイス動向にも対応可能だという。従来から提供している「JP1/IT Desktop Management」と連携することで、PCとスマートデバイスを一元管理する環境を構築できるとしている。

 JP1/AOの価格は税別94万5000円から。JP1 V10の新製品群およびサービスはいずれも10月31日の出荷予定となる(JP1システム監視サービスのOracle予兆検知オプションのみ12月末出荷予定)。

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