Navigation Platformによる「トークスクリプト」の改善がコールセンターソリューション差別化の決め手にCS向上と売上アップを握る

海外ベンダーがひしめくコールセンターシステム市場で、国産ベンダーとして数多くの導入実績を誇るのが、日立情報通信エンジニアリングだ。同社は顧客応対を左右する「トークスクリプト」の品質や機能の向上に、日立製作所の「uCosminexus Navigation Platform」を活用して、顧客企業における顧客満足度や売上の向上を支えている。

» 2013年03月01日 10時00分 公開
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コールセンターの最新事情とは?

 日立グループのSI企業の1社である日立情報通信エンジニアリングは、製造業向けソリューションや組み込みシステムの開発で高い実績を持つとともに、金融、情報・通信、官公庁など多様な業界に向けたソリューションを幅広く手掛けている。そんな同社の主力ソリューションの1つに、コールセンターシステムの構築がある。

 同社のコールセンタービジネスの歴史は古く、同社 営業統括本部 拡販推進センタ長 横山哲弘氏によれば、日本でコールセンター市場が初めて本格的に立ち上がった1990年代後半にまでさかのぼるという。

日立情報通信エンジニアリング 営業統括本部 拡販推進センタ長 横山哲弘氏

 「1997年にコールセンターソリューションの提供を始めて以来、これまで数多くの導入実績を積み重ねてきました。コールセンターは、企業の中で顧客満足度の向上を担う重要な部門であると同時に、顧客からの直接の声を集めてマーケティング活動に生かすという重要なミッションも負っています。このように、企業活動の中で極めて重要な位置を占めるコールセンターですが、今も昔も『サービスレベル向上』と『コスト削減』という、相反する要件の両立に苦しんできました。弊社は製品開発を通じてこの難題を解決することを目ざし、長年コールセンターソリューションに取り組んでいます」

 同社は現在、2つの製品を軸にコールセンターソリューションを展開している。その1つが、CTIシステム製品「iCTNET/IX」だ。世界のCTIサーバ市場では海外ベンダーの製品が目立つが、同社はiCTNET/IXと日立製作所製PBXを組み合わせた「オール日立ソリューション」で、国産ならではのきめ細かな使い勝手や、充実したサポート体制を武器に日本国内で導入実績を積み重ねてきた。

 もう1つの製品が、コールセンターにおけるオペレーターと顧客の通話のやりとりを録音できる「Recware III」である。コールセンターにおける通話録音のニーズにはさまざまなものがあり、録音内容をオペレーターの応対品質の向上のために生かしたり、あるいはマーケティング分析用のデータとして活用するといった用途がある。同社 営業統括本部 拡販推進センタ 第2部長 真野正彦氏によれば、法律改正に伴って通話録音のニーズが新たに持ち上がってくることも多いという。

 「例えば、保険商品を電話で販売できるよう法改正が最近行われたことで、契約の証拠として通話内容を録音する必要が出てきました。このようにコールセンターの通話録音は、時とともにさまざまな形で使われるようになっています。新たなニーズに迅速に対応していきながら、今後も効果的な通話録音ソリューションを顧客に提供していきたいと考えています」

トークスクリプトのシステム化に長年の課題

 iCTNET/IXとRecware IIIに加え、CRMアプリケーションや日立製作所製PBXを組み合わせた「トータルソリューション」こそが、日立情報通信エンジニアリングのコールセンターソリューションの強みだという。しかしそれでも、コールセンター運営にまつわるさまざまな課題を全て解決できるわけではないと横山氏は言う。

 「コールセンターの運営には3つの大きな要素があります。1つは、弊社が提供しているCTIシステムや通話録音システムのようなインフラシステム。2つ目がCRMアプリケーション。3つ目の要素が『トークスクリプト』です。従来のコールセンターソリューションは、このトークスクリプトの部分に課題がありました」

 トークスクリプトとは、オペレーターが電話応対の際に話す内容や、話の流れをあらかじめシナリオのような形で定義した手順書のことだ。特に、商品やサービスの案内を電話で行う「アウトバウンド・コール」においては、このトークスクリプトの出来いかんで商品・サービスの売り上げが大きく左右されると言われている。また、仮に優れたトークスクリプトを作成したとしても、オペレーター全員がそれにきちんと沿って応対できなければ意味がない。

 そのため、同社ではこれまでCRMアプリケーションの中に、このトークスクリプトの機能を埋め込み、オペレーターがアプリケーションの画面上で逐次スクリプトの内容を確認できるようなシステムを提供してきた。しかし、この方法には限界があったという。

 「電話で案内する商品やサービスが変われば、当然のことながらトークスクリプトの内容も変わるわけです。アウトバウンド・コールの場合、極端な例では毎日のように内容が変わります。しかし、アプリケーションの中にトークスクリプトの機能を埋め込んでしまうと、その内容を更新する度に開発作業が発生してしまうので、頻繁に更新したいというニーズに対応しきれないことがありました」(横山氏)

日立情報通信エンジニアリング 営業統括本部 拡販推進センタ 第2部長 真野正彦氏

 その結果、ほとんどのコールセンターの現場ではトークスクリプトの内容を、紙やエクセルファイルに記して、各オペレーターに配布しているのが現状だという。しかしこうしたやり方は、業務改善の面でも問題点をはらんでいると真野氏は指摘する。

「コールセンターの運用効率を高めるには、トークスクリプトの内容を絶えずブラッシュアップし、応対時間を短縮してなるべく多くの電話をさばけるようにする必要があります。しかし、トークスクリプトの仕組みがシステム化されていないと、各オペレーターが応対のどの部分に時間を割かれているのかが可視化されず、結果としてトークスクリプトの中で改善が必要な個所も見えてきません」

「Navigation Platform」でトークスクリプトの課題解決を支援

 このトークスクリプトにまつわる課題を解決するために、同社は日立製作所が提供するミドルウェア製品「uCosminexus Navigation Platform」(以下、Navigation Platform)に注目。Navigation Platformは、業務現場の作業手順をフローチャートとして定義し、その実行をコントロールしながら、作業のフロー内に含まれる個々の作業内容をビジュアルなコンテンツとしてユーザーに提示できる製品だ。コールセンターのオペレーターが電話応対を行う際の手順と、実際に話す内容を定義するツールとしては、まさに打って付けだといえる。

 同社がNavigation Platformに着目した最大の理由は、「その柔軟な運用性にありました」と横山氏は言う。

 「Navigation Platformは、開発者のみならず、現場のユーザーでも簡単に作業のフローやコンテンツを作成・更新できます。ですので、トークスクリプトを頻繁に更新する場合でも、開発者にその都度依頼することなく、コールセンターの現場で柔軟かつ迅速に対応していけます」

Navigation Platformの適用イメージ

 またNavigation Platformは、画面上に外部リンクを貼ったり、あるいは外部システムのWeb画面を直接呼び出せるようになっている。さらには、外部システムとAPIを介して密接に連携することもできる。こうした機能を活用し、オペレーターが参照するトークスクリプトのコンテンツ内に、資料ファイルへのリンクやCRMアプリケーションの画面を埋め込んでおけば、オペレーターが電話応対中に資料を探したり、ほかのシステムを呼び出して調べる手間が減る。その結果として、コールセンター全体の稼働率の向上が期待できる。

業務改善をサポートするNavigation Platformのさまざまな機能

 また、業務改善の観点でもNavigation Platformは大きな可能性を秘めている。特に、フロー実行の履歴をログに残せる点は、電話応対の効率アップに大きく寄与すると真野氏は言う。

 「iCTNET/IXには、各オペレーターが通話や保留などに要した時間を集計・分析できるツールを備えています。通常、『応対のどの部分でどれぐらいの時間を要したか』といった詳細レベルの情報までを可視化するのは非常に難しいのですが、その点でNavigation Platformがあれば、フローを実行した時のログを解析することで、ボトルネックとなっている部分を正確に特定できますので、これを元にトークスクリプトの内容を的確に改善していけます」

iCTNET/IXの管理機能

Navigation Platformを使って電話応対の改善も支援

 日立情報通信エンジニアリングは、既に何社かの顧客企業に対して、コールセンターのバックヤード業務を支援するツールとしてもNavigation Platformを提供しており、着実に成果を上げているという。そして、現在ではもともとの目的であったトークスクリプト改善のためのソリューション提供に向けて着々と準備を進めている。

 「現在、とある顧客企業に対してNavigation Platformをベースにしたトークスクリプトシステムの提案を進めています。来年度中には、Navigation Platformによるトークスクリプト運用を中心に据えた、『電話応対を改善するソリューション』を、正式なサービスとしてリリースする予定です」(横山氏)

 このソリューションは、同社の顧客企業に新たな価値を提供できるとともに、同社自身にとっても新たなビジネスチャンスを切り拓いてくれる可能性があると真野氏は期待を寄せる。

 「コールセンターのビジネスは、もともと他社との差別化が図りにくく、近年ではIP化によってシステムが統合されていく傾向にあります。そんな中、電話応対を改善するソリューションは、システム構築案件というよりは業務コンサルティングに近いサービスですので、弊社から新しい価値を提供できます。これは弊社にとっても、新たなマーケットを開拓できるチャンスだととらえています」

 今後、同社ではNavigation Platformを使った新たなソリューションをテコに、コールセンタービジネスのさらなる成長とサービスの拡充を図っていくという。

 「Navigation Platformが新たにポートフォリオに加わったことで、顧客が抱える『コールセンターのサービスレベル向上とコスト削減の両立』という課題の解決に、より貢献できるようになりました。今後もより多くの企業に、インフラ製品も含めた弊社のコールセンターソリューションを活用していただき、コールセンターの価値とそこで働く人々のモチベーションの向上に貢献したいと考えています」(横山氏)

※日立情報通信エンジニアリング株式会社は2013年4月1日より株式会社 日立情報通信エンジニアリングに変更となりました。そのため、社名および組織名を記事公開日より変更しております。

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日