クラウドと通信の「シームレス」な融合でユーザーの経営課題を解決――NTT ComMaker's Voice

MM総研が調査したビジネスクラウド総合評価で首位を獲得したのがNTTコミュニケーションズのBizホスティングだ。サービスの背後にある狙いを聞いた。

» 2013年03月28日 08時00分 公開
[ITmedia]

 調査会社のMM総研が2013年2月に発表した「ビジネスクラウド総合評価調査」の結果によると「基本機能」「サービス実装」「ネットワーク」「信頼性」「運用サポート」「料金体系」の6分野/計43項目の総合評価でNTTコミュニケーションズの「Bizホスティング」が総合1位(AAAランク)を獲得したという。

 MM総研は報道発表の中で「(高評価を獲得したのは)企業向けに高信頼なサービスを提供する事業者が目立つ結果になった」としている。IT基盤をアウトソースするインフラとしてのクラウドに求められるポイントはどのようなものなのか、NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部で担当部長を務める栗原秀樹氏に聞いた。


NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部の栗原秀樹 担当部長

 同社のクラウドサービスはいくつかある。例えばCloudn(クラウド・エヌ)がやや開発用途向けなのに対して、企業IT基盤のアウトソース用途として提供しているのがBizホスティング Enterprise Cloud(BHEC)だ。

 「クラウドがもたらす経営革新には大きく分けて3つの要素がある」と栗原氏は指摘する。「国内外の事業拠点に分散したIT資産の統合によりコスト削減でき、また固定費の変動費化によってビジネス環境の変化に弾力的に対応できるようになる」

 そして3つめとしては「クラウドにアウトソースすることで生じた経営資源(人員や資金)を新たな収益源に集中できる」という。「実際の案件の中でも、これらを目的としたものが多い」(栗原氏)

 実際、国内大手製造業の事例ではサーバ数を1700台から500台に、拠点数は180カ所から50カ所に削減できたという。拠点が分散していたことで利用している通信事業者数は実に20にものぼっていたが、通信もNTTコミュニケーションズ1社に集約。このケースでは、情報システムのTCOを30%削減することに成功した。

 栗原氏の指摘をまとめると、ユーザー企業がクラウドに期待する効果は「攻めと守り」の両面にあると言えそうだ。ではBHECはどのような点に置いて、他サービスに対して差別化できているのだろうか。

ビジョンに基づくサービス実装

 NTTコミュニケーションズはそのクラウド戦略において「グローバルクラウドビジョン」を設定している。ソリューションスタックごとに施策を定めているが、直接BHECに関連するスタックとしては「インフラストラクチャ」「ネットワーク」「カスタマーポータル」などが挙げられよう。

NTTコミュニケーションズの「グローバルクラウドビジョン」

 インフラストラクチャについては「国内はもとより全世界145拠点にデータセンターを持つことが、特に海外進出を図る企業にとって利点があるはず」と栗原氏は話す。BHECに限っても、欧米や東南アジアなど8カ国9拠点にサービスを展開し(2012年度中)で、「今後も拡張予定」(栗原氏)だという。

 次にネットワークだが、ここは特にNTTコミュニケーションズが強みとするところだ。日本と米国のデータセンターの間に低遅延の大容量海底ケーブルを接続するほか、2012年の8月には日本と香港、フィリピン、マレーシア、シンガポールをつなぐ「Asia Submarine-cable Express (ASE)」の提供を開始した。

 またBHECのカスタマーポータルは「特に注力して開発したもの」(栗原氏)だという。他のクラウドサービスでも同様のダッシュボードは用意されるが、仮想マシンの一覧などは「大量にリスト表示されてしまい、直観的に把握しづらい」(栗原氏)状況がある。

BHECのダッシュボード。サービスとネットワークの関係性を一覧できる

 BHECのカスタマーポータルについてはエンタープライズ向けのITアウトソースポータルであることを意識し「サービスを直感的に可視化することと、申し込みと設定変更をオンデマンドに行えることにこだわった」と話す。通信事業者である強みを生かし、サービス間をつなぐネットワーク構成もビジュアルで示している。

 栗原氏はNTTコミュニケーションズがクラウド事業を手掛ける意義について「クラウドと通信(ネットワーク)を融合した姿を示すこと」だと話す。このことは同社の「SEAMLESS CLOUD FOR THE WORLD」というビジョンにも表れている。

 「これまで、充実した情報システムは大企業しか持つことができなかった。しかしクラウドなら、企業規模を問わず最新のIT基盤を利用できる。クラウドのテクノロジーは“ゲームに参加するハードル”を下げるもの。BHECを通じ経営課題の解決を支援していきたい」(栗原氏)

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