Amazon Web Servicesのプレミアパートナーとなった中小企業のアイレット。齋藤CEOは「AWSの運用や保守では負けない」と鼻息が荒い。
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社員40人弱の中小IT企業、アイレットが今年6月にアマゾンWebサービス(AWS)のプレミアパートナーになった。企業向けシステム構築などを手掛ける「APNコンサルティングパートナー」の最上位に位置付けられるもので、日本では同社と野村総合研究所の2社が認定された。アイレットの齋藤将平代表取締役CEOは「AWSの運用・保守では、競合に負けない」と力を込める。
2003年に設立したアイレットは、Webシステム開発の事業をスタートする。ECサイトや予約システム、キャンペーンなどのシステム開発を請け負ってきた。だが、大規模なシステムの案件を獲得できる経営環境にはなかったという。設立してわずか数年の中小IT企業に、大量のサーバをはじめとするIT設備を調達することは難しく、資金面などの課題があったからにほかならない。
そうした中で、齋藤CEOは「AWSならできる」と思いついた。ストック型ビジネスも目指せるとし、約3年前からAWSを活用したシステム構築から運用、保守までを手掛けるビジネスに乗り出した。その土台となるのがホスティングサービス「cloudpack」だ。
ユニークなのは、AWSにない機能を用意したこと。例えば、負荷に耐えられるようIT資源を増減させたり、障害に素早く対応したりできるようサービスレベルを上げた。
AWSを分かりやすい商品にも仕立てる。AWSは従量課金、つまりIT資源を使った分だけ支払う仕組みである。その支払い方法はクレジットカードで、しかも米ドルになる。「クレジットカードの利用がNG、ドル支払いもNGという企業は少なくない」(cloudpack事業部の櫻井貴江子氏)。そこで、構築から運用、保守までをパックにし、かつ日本円による定額課金の請求書支払いにした。それがcloudpackだ。
こうした点が評価されて、cloudpackの導入ユーザーは急速に拡大したという。トヨタ自動車の公式企業サイトなど、のべ300件を超す。当初、キャンペーンなどの用途が多かったが、最近は業務系システムへの活用範囲が拡大する。中小企業から大企業へと顧客層も広がる。
例えば、健康関連商品の通販サイトを展開するケンコーコムは、cloudpackを活用して、ECサイトに加え、SAPのERPシステムをAWSに移行する(SAPの移行作業は、ノウハウのあるIT企業が担う)。電子楽器や電子機器などを開発、販売するローランドは、最新情報の配信、カタログの請求などといった会員専用ポータルサイトなどに使う。海外の顧客向けにも同様なサイトを用意する。
もちろん、中小企業をはじめとするスタートアップ企業にも人気だ。ITインフラ担当の人材を採用する余裕はないし、成長スピードが読めないビジネスにわざわざIT資源を調達したくはないだろう。そんなニーズにも応えたわけだ。
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