データ管理の負担をなくし、“無意識”にバックアップできるクラウドソリューションとはファイルサーバの集約と分散のいいとこ取り

日を追って増大し続けるさまざまな業務データに対し、多くの企業ではファイルサーバの管理がますます複雑化している。そのためにかかるコストの問題も然ることながら、運用や管理の負荷が重みを増し、システム担当者は悲鳴を上げている。こうした運用管理の問題を解決するとともに、データのバックアップをも容易に実現できるクラウドソリューションが存在する。それが日立製作所のクラウドストレージソリューション「Cloud on-Ramp」だ。

» 2014年05月27日 10時00分 公開
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ファイルサーバのバックアップにまつわる課題をどう解決するか?

 企業システムが抱えるデータの量が、急激な勢いで増えている。しかも単に量が増えているだけでなく、データの性質そのものもさま変わりしてきている。従来、企業システムが管理するデータといえば、業務システムが取り扱うトランザクションデータが主だった。しかし今日、企業が保有するストレージの容量を圧迫しつつあるのは、ドキュメントやメール、画像および映像データといったファイルデータだ。

 これらファイルデータを保管するためのファイルサーバは、いまや「オフィスに1台」が当たり前になるほど広く普及している。しかし近年、増え続けるファイルデータを、既存のファイルサーバだけで管理することに限界を感じている企業が増えてきている。特に課題になっているのが、データのバックアップだ。

 ファイルデータが増えれば増えるほど、バックアップにかかる時間が長くなり、その運用も複雑化する。しかも、ファイルサーバが部署や拠点ごとでばらばらに設置、管理されている状況下では、サーバごとに個別でバックアップデータを管理する必要がある。ファイルサーバの数が増えれば増えるほど、運用や管理の手間も増えていく。人数の少ない拠点などでは専任のサーバ管理者がいないことも多く、バックアップ自体がきちんと行われていないケースも珍しくない。

 こうした課題を解決するために、現在多くの企業が取り組んでいるのが、「ファイルサーバ統合」である。企業内のあらゆる場所に散在しているファイルサーバを、データセンター上の共用ストレージに統合するというものだ。管理ポイントが一元化されるため、バックアップや災害対策、セキュリティ対策などの管理作業を効率良く、かつ漏れなく実施できるというのがそのメリットである。

 しかし、ファイルサーバの統合・集約には、幾つかのウィークポイントもある。その最たるものが、ネットワークの問題だ。ユーザーは、データセンターのストレージに保管されているファイルデータに、ネットワークを介してリモートアクセスするため、ネットワークの性能によってスループットが大きく左右されてしまうのだ。この問題を解決するために、広帯域の専用線を導入したり、あるいはスループット向上のために専用のネットワーク機器を導入したりするが、結果として多額のコストが掛かり、下手をするとファイルサーバ統合のコストメリットが帳消しになりかねない。これでは本末転倒だ。

 そうした中、クラウド技術を効果的に活用することで、このような課題をうまくクリアできるソリューションが存在する。その1つが、日立製作所(以下、日立)が提供するクラウドストレージソリューション「Cloud on-Ramp」だ。

クラウドを活用した独創的なバックアップソリューション

 Cloud on-Rampは、「コンテンツクラウド」というコンセプトの下に、2011年から日立が提供しているソリューションだ。コンテンツクラウドとは、ファイルを中心とした各種のコンテンツデータを、クラウド環境を活用して効率的に一元管理、活用するというもの。これだけを聞くと、単にパブリッククラウドのストレージサービスを使ってバックアップを取るのと同じだと思われるかもしれないが、Cloud on-Rampはそうしたクラウドバックアップサービスとは明らかに一線を画している。

Cloud on-Rampの概要 Cloud on-Rampの概要

 まず、ユーザーや管理者がクラウドを意識する場面はほとんどない。やることといえば、それまで使っていたファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)ストレージの代わりに、日立のNAS製品「Hitachi Virtual File Platform(VFP)」を設置し、そこに従来通りファイルデータを置くだけ。すると後は、VFPが自動的にバックアップデータをクラウド環境上にアップロードしてくれるのだ。

 管理者がやるべきことは、最初にバックアップのスケジュールやポリシーを設定し、クラウド環境との間を結ぶ回線の帯域制御を調整するぐらいだ。それ以降はVFPが自動的に更新されたファイルのバックアップを自動的にクラウド環境上に作成してくれる。これなら管理者が不在でも、問題なくバックアップを運用できる。しかもユーザーがファイルにアクセスする際には、VFP内に保管されたデータにアクセスするため、データセンターへのリモートアクセスは発生しない。そのため、レイテンシ(データ転送の遅延時間)やWAN帯域の問題に頭を悩ませられることもない。

 ただし正確に言うと、データセンターからファイルデータを取ってくるケースが、まったくないわけではない。つまり、VFPはユーザーからのアクセス頻度が高いファイルは常に自身のシステム内に置いておくが、アクセス頻度が低くなったファイルは自動的にクラウドへ退避させ、自身の中にはそのファイルの「スタブ(ショートカットのようなもの)」のみを残しておく。そして万が一、ユーザーからのアクセス要求があった場合には、改めてクラウド上からそのファイルの実データを引っ張ってくるのだ。

 見方を変えると、クラウド環境上のバックアップ・アーカイブディスクの容量を追加すれば、キャパシティを拡張できるということだ。一般的に煩雑だとされるディスク容量のプロビジョニング作業がほぼ不要になるため、システム管理者に掛かる負担は大幅に軽減されるはずだ。

分散と集約の「いいとこ取り」

 では、VFPからバックアップデータを受け取って管理するクラウド側の仕組みはどうなっているのだろうか。この部分を一手に担っているのが、日立が提供するストレージ製品「Hitachi Content Platform(HCP)」だ。高効率なデータ圧縮・重複排除機能を備えたバックアップ・アーカイブ用途のストレージ製品であり、VFPと組み合わせて運用することで、Cloud on-Rampにおけるクラウドストレージとしても機能する。

 例えば、ストレージ領域を複数の「テナント」という論理エリアに分割し、互いの間にセキュリティ境界を設けられる。それぞれのテナントを、異なるVFPのバックアップ領域として割り当てれば、マルチテナントのクラウドストレージとして利用できる。加えて、同じテナントを複数のVFPで共用することができ、あるVFPが共有しているデータを、ほかのVFPから参照(読み取り専用)を行う「ネームスペース共有」という機能も備えている。遠隔地にある災害対策サイトにもう1台HCPを設置し、遠隔レプリケーションを行えば、災害対策も容易に実現できる。

ネームスペースの共有でどのサイトへ移動しても同じディレクトリにアクセス可能 ネームスペースの共有でどのサイトへ移動しても同じディレクトリにアクセス可能

 このように、ファイルデータのバックアップおよび災害対策の管理を一元化、自動化し、ファイルデータの管理に掛かる手間を大幅に削減できる一方で、前述したように、エンドユーザーが普段頻繁に使うファイルはそれぞれのローカル拠点に設置されたVFPに置かれるため、リモートアクセスは発生せず、レイテンシの問題も生じない。このようにCloud on-Rampは、ファイルサーバの集約と分散、それぞれのメリットを「いいとこ取り」した仕組みと言えよう。

 ちなみにVFPは、NAS単体として、あるいはストレージ単体としても特長的な機能を数多く備える。例えばVFPには、既存ファイルサーバからのデータ移行をスムーズに行うための「オンラインデータ移行」という機能が備わっている。

 ここではCloud on-Rampと似たような仕組みが採用されており、既存ファイルサーバからVFPへの運用切り替えに際して、ファイル本体のデータ移行に先駆けて、まずはVFP上にファイルのスタブだけが展開される。ファイル本体の移行は、その後にバックグラウンドで行われるのだが、もし、ユーザーがVFPにアクセスし、まだ移行が終わっていないファイルを要求した場合には、VFPはその場で即座に旧環境からそのファイルを取得してユーザーに返す。こうした仕組みがあるため、たとえ大容量のファイルサーバの移行であっても、ユーザーから見るとほぼダウンタイムなしで移行を行うことができる。

 また、VFPはアクセス頻度が低くなったファイルを自動的にクラウドへ退避させると述べたが、VFP内部でも高性能なSSD(Solid State Drive)やSASドライブと、大容量・低コストのニアラインSASドライブとの間で、自動的にファイルを移行する。一般的にこうした機能は「階層化」「ティアリング」と呼ばれ、近年では多くのストレージ製品に実装されているが、その多くはデータをブロック単位で移動する仕様となっている。しかしVFPはファイルデータを管理するNASとしての使い勝手を重視し、ファイル単位でのデータ移動を実現している。これは、他製品ではほとんど見られない特長的な技術だ。

 さらには、一度データを書き込んだら一定期間更新や削除を不可にする「Write Once Read Many(WORM)」機能が搭載されている。単にファイルを保管しておくためのNASストレージとしてだけではなく、アーカイブストレージとしても利用できるようになっている。

国内外の多様な業界・団体で活用が進むCloud on-Ramp

 現在、Cloud on-Rampは国内外のさまざまな企業・団体で活用されている。例えば、国内のある団体では、全国の55拠点にVFPを設置し、東日本と西日本のデータセンターにそれぞれ2台ずつ設置したHCPにバックアップを取っている。これによって、エンドユーザーの使い勝手を低下させることなく、全拠点合わせて1ペタバイトにも及ぶバックアップデータの自動管理を実現している。さらには、東日本と西日本のHCPの間でデータの相互バックアップを行うことで、高度な災害対策までも実現している。

 また、同じく国内のある建設企業では、社内のファイルサーバをVFPにリプレースし、そのバックアップ先として自社で導入したHCPではなく、日立が提供するクラウドサービスを利用している。この場合も、離れた場所にある別の日立データセンター上で、さらにバックアップを作成することで、災害対策を実現している。

 Cloud on-Rampは海外の企業・団体でも広く活用されている。ある小売企業では、各店舗にVFPを設置し、プライベートクラウド環境に設置したHCP上でPOSデータを集中管理している。また、こうして収集したPOSデータを集計・分析し、自社の販売戦略の立案に反映させている。この場合、各店舗のデータは、HCP内でそれぞれ異なるテナントで管理されるが、それらをまとめて集計・分析する際には、ネームスペース共有の機能を使って各店舗のデータを横断的に参照している。

 このように、既に国内外でさまざまな企業・団体が、Cloud on-Rampを採用し、ファイルデータの管理にまつわる課題を解決するとともに、それぞれに固有の導入メリットを見出している。ファイルデータの管理やファイルサーバの運用に課題を抱えているあらゆる企業にとって、検討の価値のあるソリューションと言えそうだ。

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年6月26日

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