SaaS事業を急拡大、Salesforceに対抗 ラリー・エリソン会長Oracle OpenWorld San Francisco 2014 Report(1/2 ページ)

IT企業のカンファレンスで世界有数の規模を誇る「Oracle OpenWorld」が今年もサンフランシスコで開幕した。今月半ばにCEOを退任したばかりのラリー・エリソン経営執行役会長兼CTOがオープニングキーノートにさっそく登場した。

» 2014年09月29日 16時12分 公開
[伏見学,ITmedia]

 時折吹き抜ける涼風が秋の到来を感じさせるものの、日中は相変わらず西海岸特有の強い日差しが照りつけるカリフォルニア州サンフランシスコ。来週に行われるメジャーリーグのワイルドカードゲームに地元球団のサンフランシスコ・ジャイアンツが出場するため、それに伴い街中はいっそうの熱気を帯びている。

今年のOracle OpenWorldもハワードストリートを真っ赤なコーポレートカラーで埋め尽くす 今年のOracle OpenWorldもハワードストリートを真っ赤なコーポレートカラーで埋め尽くす

 9月28日(現地時間)、ここサンフランシスコの中心部にあるモスコーニセンターにおいて、米Oracleは年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2014」を開幕した。

 今年で20回目となる同カンファレンスは、来場者が6万人を超え、オンラインでは昨年の3倍以上となる約700万人が世界145カ国から参加する規模となった。会期中のセッション数は2700に上り、ダウンタウンにある高級ホテルなど17カ所が会場になる。

 昨年と同様、モスコーニセンター前を走るハワードストリートを閉鎖し、「Oracle Plaza」と名付けられた多目的スペースを特設。今年はこの場所がパーティー会場や講演会場などに変貌する。

30年前からの約束を果たす

 夕方から行われたオープニングキーノートで、米Intelのレニー・ジェームス社長によるパートナー講演に続き、意気揚々とステージに姿を現したのは、Oracleのラリー・エリソン経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)だ。つい先日、同社の創業以来34年間務めたCEOの座から退き、現職に着任したという突然の発表はITビジネス業界の話題をかっさらった。

会長兼CTOとして初めてOpenWorldのステージに立ったラリー・エリソン氏 会長兼CTOとして初めてOpenWorldのステージに立ったラリー・エリソン氏

 そのエリソン氏が今回のOpenWorldで並々ならぬ意欲を見せるのが、クラウド事業の拡大だ。同社はSaaS、PaaS、IaaSの機能を備えた包括的なクラウドサービス「Oracle Cloud」を提供している。エリソン氏によると、当時クラウドという呼び方はされていなかったものの、企業システムのすべてのレイヤをOracleが担うということを30年も昔から顧客に約束していたのだという。「そして今、ついにその時が来た。2014年はクラウド事業における大きなターニングポイントとなる」とエリソン氏は力を込める。

 具体的には、Oracle CloudにおけるSaaS、PaaS、IaaSの3レイヤを機能強化・拡張した。SaaSは大きく「Customer Experience(CX)」「Human Capital Management(HCM)」「Enterprise Resource Planning(ERP)」の3領域に分かれる。例えば、CXではマーケティング関連を中心に88個のサービスを用意し、うち29個を新規リリースした。この1年間でCX領域のサービスを採用した顧客は1101社、HCMは959社、ERPは263社となり、アプリケーションをオンプレミスからクラウドへ移行する流れが加速しているという。

 「中には2〜3カ月でメリットを享受する顧客もいる。TCOが大幅に改善するほか、短期間で導入できるため、わずかな期間で投資を回収できる。大企業だけでなく、中堅にも有効なクラウドサービスなのだ」(エリソン氏)

 既にSaaSで競合となっていた米Workdayを売り上げ規模で抜き、「いよいよ米Salesforce.comに対抗できる」とエリソン氏は意気込む。

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