2014年5月にホワイトハウスがビッグデータ報告書を公表して早一年が経ち、米国ではビッグデータに関わるイノベーションと同時に標準化の活動も急ピッチで進んでいる。今回は最前線の動向をお伝えしよう。
2012年3月に、米ホワイトハウスの大統領行政府がビッグデータに関わる研究開発支援策を発表した後、セキュリティ/プライバシーを含む技術規格の標準化活動に関して、国立標準研究所(NIST)が主導的な役割を果たしている。また消費者保護の観点から、米国連邦取引委員会(FTC)も制度的な仕組みづくりにフォーカスした活動を積極的に行っている。下表は大統領行政府、NIST、FTCのビッグデータに係る主な取組を整理したものである。
年月 | 所管機関 | 内容 |
---|---|---|
2012年3月 | 大統領行政府 | 「Big Data Research and Development Initiative」(関連PDF)を公表 |
2013年6月 | NIST | NISTビッグデータワーキンググループ(NBD-WG)のキックオフミーティング(関連PDF)を開催 |
2013年7月 | FTC | 13歳未満の子どもを対象とした児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)の改正規則を施行 |
2014年5月 | 大統領行政府 | 「BIG DATA: SEIZING OPPORTUNITIES, PRESERVING VALUES」(関連PDF)を公表 |
2014年5月 | FTC | 「Data Brokers: A Call for Transparency and Accountability」(関連PDF)を公表 |
2014年9月 | FTC | ワークショップ「Big Data : A Tool for Inclusion or Exclusion ?」を開催 |
2014年10月 | NIST | IEEEビッグデータカンファレンスにて、NISTビッグデータパブリックワーキンググループ(NBD-PWG)のワークショップを開催 |
2015年3月 | FTC | プライバシー、データセキュリティ、スマートホーム、ビッグデータ、IoTなど次世代の消費者保護を目的とした技術研究・調査室(OTRI)を新設 |
2015年4月 | NIST | NISTビッグデータパブリックワーキンググループ(NBD-PWG)が、ビッグデータ相互運用性フレームワーク・バージョン1.0草案 |
このうち、NISTのビッグデータパブリックワーキンググループ(BD-PWG)は、ホワイトハウスのビッグデータ研究開発支援策に基づき、ビッグデータに関わる全セクター共通の定義、分類、リファレンスアーキテクチャ、技術ロードマップを構築することを目的として設置された公開作業グループであり、以下のような課題に取組んでいる。
そして、NPD-PWGの標準化活動の具体的な成果物となるのが、「ビッグデータ相互運用性フレームワーク」である。「定義/分類」「ユースケース/要求事項」「セキュリティ/プライバシー」「リファレンスアーキテクチャ」「技術ロードマップ」の各分科会が、以下のようなステージごとにアウトプットを策定・公開する方針で作業を進めてきた。
クラウドコンピューティング、モバイル、IoT(モノのインターネット)、ソーシャルメディアなど、様々な要素技術が関わるビッグデータの相互運用性について、最初に抽象度の高い包括的な共通フレームワークを定義し、インタフェースからアプリケーションへと粒度を細かくしていく方向で、標準化活動が進んでいるのが特徴だ。
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