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» 2016年01月05日 07時30分 公開

半径300メートルのIT:個人情報の保護なんて気にしないあなたへ (2/2)

[宮田健,ITmedia]
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「個人情報の保護なんて気にしないよ」という方にお勧めしたい読みもの

 問題はやはり、個人情報保護への意識がいまだバラバラであることです。個人情報保護の意識がない人がシステムを作ってしまうと、問題のあるシステムが作られてしまいます。このコラムでは「プライバシー」をどう考えるべきか自体を取り上げることは筆者の力不足の点で難しいので、入り口になるであろう、2つの読みものをお勧めしたいと思います。

 1つ目は、「数学ガール」シリーズを書いた結城浩さんの、「固有IDのシンプル・シナリオ」です。これはもう12年前、2003年に書かれたものですが、技術が進み、ほとんどの人がデジタルデバイスを持ち歩く今であれば、より理解が早い内容ではないかと思います。一般的に個人情報と考えられる名前や住所がなくとも、非接触ICカードをはじめとする「固有ID」が引き起こすであろう、デメリットとメリットを私が初めてしっかりと認識した読みものでした。

「ニッポンの個人情報」(翔泳社刊)

 2つ目は2015年に発売された翔泳社の書籍「ニッポンの個人情報 個人を特定する情報が個人情報であると信じている全ての方へ」です。これは鈴木正朝さん、高木浩光さん、山本一郎さんによる対談をもとにした構成で、ITをベースにした個人情報とプライバシーのいまを鋭く取り上げた一冊です。ライブ感あふれる対談をそのまま収録しているので、堅苦しくなく読みやすい内容です。興味のあるなしにかかわらず、1人でも多くの方に読んでいただきたいと思っています。

2016年は誰もが個人情報保護を気にすべき時代になる――といいなあ

 2016年は“マイナンバー”がスタートする年でもあります。上記の2つの読みものを読んでいれば、この番号という、名前でも住所でも連絡先でもない「固有ID」が持つ意味が理解できるのではないかと思います。それだからこそ、政府や企業がその取り扱いに最大限の注意を払っています。

 個人的には、政府や企業だけでなく、私たち個人の側ももう少し「個人情報保護」に興味を持たなくてはならないと思っています。自分のプライバシーを守るだけでなく、他者のプライバシーを侵害しないためにも。そのためには、自ら学ぶことが重要です。入り口として私は上記の2つを読みましたが、ITの進化に追いつくよう、常に学ばなくてはなりません。

 「プライバシーをガチガチに守っていたらビジネスが進まないよ」という方も確かにいます。しかしそういう意見は、そんなビジネスを進めたい方のポジショントークだったりしますので、2016年はあらゆることを学びつつ、“自分の答えを作っていく”必要があるのかもしれません。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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