第3回 データの利用目的別、ハードウェアとソフトウェアの選び方データで戦う企業のためのIT処方箋(2/3 ページ)

» 2016年03月01日 07時00分 公開
[森本雅之ITmedia]

ユーザー企業の規模に応じた適切なシステム構成とは

 それでは、実際にユーザー企業の立場から、自社のシステムにとって前述のシステム構成のどちらが適切かを分類していきます。

 まずハイパーコンバージドシステムについては、小規模から中規模のシステム環境、サーバ数が数台から十数台程度で収まるシステムであれば、運用管理の簡素化や取扱製品の削減による技術習得の負担軽減といったメリットが特に大きくなります。この規模のシステムでは、元々複数ベンダーの製品を組み合わせるメリットがあまりないため、単一ベンダー製品での構成が一般的です。このような環境であれば、目的の性能や機能が合致する前提でハイパーコンバージドシステムを採用することのメリットを十分に享受できます。

 唯一考慮すべき点としては、ハイパーコンバージドシステムとして販売されている製品はそれぞれ魅力的な特徴をセールスポイントとして備えますが、別ベンダーの製品で同等の性能・機能を提供できない場合も多く、次の更改のタイミングで別のシステムへの移行や拡張が簡単にできない場合があります(標準的なVMware vSphereを基盤としたEVO:RAILなど、例外もあります)。自社の運用方針に照らし合わせて、特定のベンダーに任せることによる将来の構成の自由度や更改コストに対する制約をリスクとして許容できれば、十分に価値のある構成になるでしょう。

 一方のレイヤ型システムでは、主に中規模から大規模のシステム環境、サーバ数が数十台を超えて、多くなればなるほど構成や運用の標準化によるサービス提供や拡張の迅速性向上や、運用の自動化による柔軟性の向上といったメリットが大きくなります。このような環境では、サーバやストレージなどのコンポーネントを一括で全て変更・更改するといったことは現実的ではなく、増設やリプレースを部分的に随時行っていく運用が一般的です。

 そのため、仮想サーバや仮想ストレージ、ネットワーク接続などをそれぞれのレイヤごとに必要なだけ切り出して提供ができる構成をとることにより、複数の設置場所にまたがって同等のサービスを提供しつつ統合管理を行えるほか、特に人手が必要となるリプレースや展開・プロビジョニングといった作業を簡素化したり自動化したりするなど、これまでは実現できなかったより迅速な対応やサービスを止めない大規模拡張といった新しい運用手法を取り入れることができるようになります。

 サーバ数台の小規模構成ではほぼメリットがありませんが、十数台以上を管理されている場合や、システムを設置する拠点が複数あるような環境であれば、まず検討すべきシステム構成になります。

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