欧州のランサムウェア対策組織、無料の復号ツールを提供拡大

マルウェア対策プロジェクトの「No More Ransom」にセキュリティ企業や国家警察など30以上の組織が加入。被害者のデータを取り戻すための無料ツール32本が加わり、被害者救済が進む見通しだ。

» 2016年12月16日 07時43分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 欧州警察機構(ユーロポール)は12月15日、官民が連携するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策プロジェクト「No More Ransom」(NMR)に、民間と公共セクターから新しく30以上のパートナーが加わったと発表した。人質に取られた被害者のデータを取り戻すための無料ツールの提供を増やし、より多くの被害者救済を目指す。

No More RansomのWebサイト

 NMRはユーロポルとオランダ国家警察、Intel Security、Kaspersky Labが創設メンバーとなって2016年7月に設立。Webサイトを通じてランサムウェアに関する情報や、被害者のデータにかけられた暗号を解除する無料復号ツールなどを提供している。

 今回は新たにセキュリティ企業のBitdefender、Check Point Software Technologies、Emsisoft、Trend Microの4社が「Associate Partner」として参加し、復号ツール32本を提供した。これまでNMRでは8本の無料ツールを提供して約6000人が身代金を払わずにデータを取り戻すことに成功したとしており、復号ツールが一挙に増えたことで被害者救済が進む見通しだ。

 さらに、オーストリアやクロアチア、オランダ、シンガポールなどの国家警察のほか、各国のサイバー犯罪対策機関やセキュリティ企業が「Supporting Partner」として加入し、NMRの参加国は22カ国に増加。各国が連携してランサムウェアに対する対策を強化する。

「No More Ransom」プロジェクトの参加機関

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