国内パブリッククラウドサービス市場は前年比約3割増、セキュリティ強化目的の導入も――IDC予測

IDCによると、2017年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比約3割増の4885億円が見込まれるという。

» 2017年09月13日 11時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 IDC Japanは9月12日、2017年7月時点の国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。

 これによると、2017年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比27.3%増の4885億円となる見込み。2021年の市場規模は1兆986億円になると予測している。

Photo 国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2016年〜2021年(2016年は実績値、2017年〜2021年は予測値 Source: IDC Japan, 9/2017 )

 市場動向としては、IT導入時にクラウドと従来型ITを同等に評価し、検討する「クラウドオルソー」(Cloud Also)戦略をとる企業が多い中、最近ではクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」へのシフトが見られるようになってきたという。また、パブリッククラウドサービスのセキュリティについて懸念を抱く企業は依然として多いものの、その一方でセキュリティの強化を期待してパブリッククラウドサービスを利用する企業も増加している。

 こうした動向から、国内パブリッククラウドサービス市場は、今後も高い成長を継続すると予測している。

 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高まっており、DXを具現化するためのオペレーションテクノロジー(OT)の変革を支援する技術として「コグニティブ/AIシステム」「機械学習」「IoTプラットフォーム」「ブロックチェーン」などに対する注目も高まっているという。

 これらの新技術は、クラウドを前提として開発されており、パブリッククラウドサービスとしての提供が一般化している。現時点では、これらの新技術に関わる国内パブリッククラウドサービス市場規模は大きくないものの、今後は、同市場の成長を促進する大きな要因になると分析している。

 現在、国内市場では「データ流通(あるいはOpen API/Open Data)」に関わる議論が深まっており、既にデータ流通を促進する法律(改正個人情報保護法、改正銀行法)の施行や、「IoT推進コンソーシアム」「Fintech協会」などの業界団体からガイドラインなどの情報公開進んでいるという。

 データ流通の本格化は、APIエコノミーを具現化し、国内経済に大きな影響を与えるようになるとみられている。APIの整備でクラウドの活用が一般化するなど、パブリッククラウドサービスに対する期待が高まっていることもあり、IDC Japanでは「データ流通の本格化(APIエコノミー)」は、企業のDXを加速し、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進すると分析している。

 セキュリティについては、既に多くのパブリッククラウドサービスが高度なセキュリティ機能を実装しているが、ユーザー企業が適切にセキュリティ対策を実施しなければ、その効果は得られないと指摘。加えて、DXへの対応を含めてユーザー企業にとってセキュリティの強化は複雑となりやすく、どこまで実施すればよいかが分かりにくい点も課題としている。

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