自社データと組み合わせればお宝に? 事例で解説する、今注目のオープンデータの使い方データのじかん(1/2 ページ)

オープンデータの活用で企業がどのような価値を得られるのか――オープンデータの第一人者が説く活用のヒントとは?

» 2018年02月13日 07時00分 公開

「データのじかん」とは

データの面白さ、データのためのテクノロジー、データを活用するためのアイデアを分かりやすく紹介する情報サイト。

本記事は「データのじかん」に掲載された「「アプリから分析へ。見えてきた企業のオープンデータ活用における新しい潮流」を編集して掲載しています。


 オープンデータをはじめ、社内のデータと社外のデータを組み合わせた多角的なデータ活用に目を向ける企業が増えてきています。国や行政機関は積極的な活用を促すものの、企業の事業創造や新製品、サービスの開発を目的とした活用に難しさを感じている企業も多いのではないでしょうか。

 オープンデータの活用で企業がどのような価値を得られるのか――。オープンデータの第一人者である国際大学GLOCOM 主任研究員・准教授でOpen Knowledge Japan代表理事の庄司昌彦さんにお話を聞きました。

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縮小解釈していませんか? オープンデータ

 オープンデータの定義は、「誰もがいかなる目的でも自由に使用、編集、共有できるデータ」というもの。データの価値は掛け合わせることで高まるという特徴がありますから、なるべく利用条件を付けないこと、難しいなら利用条件を少なくすることが大切です。

 オープンというと、「公開」の意味で捉えるかもしれませんが、閲覧だけで加工できないのであれば意味がありませんよね。

 「今日1日、このオフィスを公開します」と言えば、訪問者は自由にあちこちを見られますが、何をしてもいいわけではありません。自由に見ることができるのは当然で、それに加えて何をしてもいいように「開放」されたデータがオープンデータです。それと、ビジネスパーソンはつい数字だけをデータと考えるかもしれませんが、文章、画像、音楽、動画などの著作物から3Dモデルまで、いろいろなもの全てがオープンデータの対象となります。台湾ではオープンデータを「開放資料」と訳しているのですが、これはとても正確な翻訳なのです。

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 それから行政がオープンデータを提供し、企業が活用するという決まった構図があるわけではありません。企業はデータを提供する側になることもあります。行政と違い、提供に義務はないので、企業にとって有利な条件をつけても構いません。でも、最初にお話した通り、価値を得るためには条件をなるべく作らない方がいいということは注意してほしいのです。

 分野としては、今は「場所」に関するデータが多いです。ある地域にどんな人が住んでいるのか、その場所に付随する気候や交通事故の件数が関連付けられますから、不動産鑑定や小売業の商圏分析や店舗の立地判断に使えるでしょう。個人的には医療、福祉、健康の領域で可能性を追求したいと考えています。この分野はデジタル化が遅れ気味で、やりとりもFAXや紙が中心。改革の余地があります。まだ進んでいないからこそデータ活用が進めば変わることの影響が大きいのではないかと期待しています。

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