「Oracle Digital」本格始動 オラクルは中堅・中小企業のクラウド活用に貢献できるかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年07月30日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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パートナー連携で日本ならではのOracle Digitalを展開

 なぜ、コストパフォーマンスの高さが評価されるようになったのか。その決め手となっているのが、IaaS/PaaSの価格体系を見直して2017年9月に発表された「Universal Credits」だ。それによると、例えば競合他社のIaaSと比べた場合、ストレージサービスで最大10分の1、コンピュートサービスでも半額以下で利用可能としている。

 また、PaaSにおけるコストパフォーマンスでは、従来、中堅・中小企業に受け入れられてきたデータベース「MySQL」が利用できるということで、「Oracle Database」だけではない選択肢が着実に認識されつつあるという。

 日本オラクルは先週、「スタイルアクト、不動産テックを支える国内最大規模の不動産データ管理にオラクルのデータベース・クラウドを採用」および「GAUSS、AIコンサルティング用データ分析とAI開発支援サービスの基盤にOracle Cloudを採用」と題した発表を相次いで行った。本多氏によると、いずれも競合他社のクラウドからリプレースしたOracle Digitalの獲得案件だという。

 こうしたことから、同氏はOracle Digitalにおけるこれまでの1年を振り返り、「相当な手応えを感じており、確かな自信を持つことができた」と胸を張った。

 さらに、Oracle Digitalの今後の展開については、先に紹介したOracle Digital Hub Tokyoの活用とともに、「国内での自社データセンターの開設と活用」「パートナー企業との連携」といった点を挙げた。(図参照)

Photo 日本オラクルの新たな取り組み。「Oracle Digital Hub Tokyo」「国内データセンター」「柔軟な価格モデル」などが入っている

 国内データセンターについては、同社として「間もなく開設する」と明言しており、同氏は「Oracle Digitalのお客さまでもレイテンシ(遅延時間)などの観点から国内データセンターを利用したいというご要望が多く、開設すれば多くのお客さまを獲得できる」と自信を見せる。

 また、パートナー企業との連携については、Oracle Digitalとしてパートナーシップを結びたい企業を全国各地域で発掘し、顧客に対して単にクラウドの導入だけでなく、オラクルならではのデータ活用における支援を広げていきたい考えだ。

 ちなみに、Oracle Digitalはオラクルのグローバルな戦略だが、同氏によると「パートナー企業との連携による顧客ニーズへのきめ細かな対応が、日本ならではの展開になる」と説明した。

 最後に、これから顧客になるかもしれないユーザー企業に対してメッセージがあれば、と投げかけると、本多氏は冒頭の顧客の言葉に返す形でこう語った。

 「オラクルはクラウド、一生懸命やってます。そして本当に安いです。ぜひ、見積もりを出させてください」

 本多流の想定問答である。ただ、Oracle Digitalが同社にとって本当に主要なビジネスになり得るかどうかは、まさしくこれからの活動次第だ。そして、その活動によって、日本の中堅・中小企業のクラウド活用に貢献できるか。大いに注目しておきたい。

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