ITmedia エンタープライズ編集部員が2018年を振り返り、“ランキングには載らなかったけれど、読者の皆さまにぜひ推したい記事”を5本ご紹介するシリーズ。高木からは、取材中に出会った“意外な場所で始まったイノベーション”をご紹介します。
平成が終わる一方で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて多くの事業が加速を始めた2018年、皆さんも、その熱気をさまざまな分野で感じたのではないでしょうか。ITmedia エンタープライズ編集部でも、AIやクラウド、RPAといったテクノロジーをただ紹介するだけでなく、実際にそれらが仕事やビジネスを変革したリアルな事例を紹介してきました。
同年5月に編集部入りした高木からは、普段見逃してしまいそうなほど身近な場所から始まった、私たちの仕事や生活を変えるネタを取り上げた記事を5つご紹介します。
「AI(人工知能)」の話題が飛び交った2018年、むやみに導入を進めるのではなく“AIに合った用途とは何か”という点にも注目が集まりました。そうした話題を取り上げた中で、ひときわ反響が大きかった記事がこちら。社内のニーズをきっかけにリコーが開発し、企業同士の契約書を自動で審査してくれるAIを取材したものです。
今まで隠れていた社員のニーズをきっかけに、AIで企業向けの新機能を開発した企業がある。新たに“文章の意味を比較するAI”を使い、法務部門が行う契約書の審査を自動化する新機能を「第2回 AI・業務自動化展 秋」に展示しているリコーだ。商品化の狙いを聞いた。
「これまでは法務部門の社員が手動で契約書を審査し、業務負担も大きかった」というリコー。同社のAI応用研究センターでは、「AIを使って社員のチェック作業を楽にできないか」と、仮説を立てつつ検証を続けます。そうしてたどり着いた、新たな技術とは……?
早ければ2019年4月に製品化を予定しているという同AI。法務以外の応用先にも注目です。
ところで皆さんは学生の頃、どんな「学生証」を使っていましたか? 記者はプラスチックのカード型の学生証を使っていましたが、「落とした学生証を使って、誰かが自分になりすましていた」という笑えない話も聞いていたので、管理には気を使いました。
こうしたリスクだけでなく、学校側が負う発行の手間や情報の更新、管理といった課題をクラウドで解決できないか――という視点から生まれたのが、学生証モバイルアプリ「がプリ!」です。
一般的にカードで発行する「学生証」を、学生のスマートフォンで提示できるモバイルアプリ「がプリ!」が、2017年秋の発表以来、全国100校以上に導入されている。特定の大学が自校の学生向けアプリに学生証を表示する例はあったが、全国の学校で自由に導入できる「学生証アプリ」は初めてだ。
開発したのは新潟の中小企業、ジェイ・エス・エス。グループ企業傘下の学校で学生証の発行作業が大きな負担になっていたところ、「紙の学生証はもう古いのでは」というスタッフの一言がきっかけで開発に乗り出したそうです。
学生証としての機能だけでなく、クラウドを通して授業登録や出席登録、災害時の安否確認もできるという同製品。記事を公開したのは2018年5月でしたが、最近はブロックチェーンの応用も検討しているとのことで、身近なニーズを最新技術で解決していく興味深い例になりそうです。
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