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» 2019年01月21日 07時00分 公開

SaaS型ERP導入に失敗しないための「5つのポイント」:第6回 SaaS型ERPを活用した業務改革のポイント 「財務経理」編 (1/3)

SaaS型ERPを活用した業務改革について、「財務経理」を例に解説します。これからの財務経理部門が取り組むべき改革のテーマを整理しつつ、財務経理部門の業務改革に不可欠なSaaS型ERPの有用性と改革のポイントについて説明します。

[廣田伸明/KPMGコンサルティング,ITmedia]

 今回は、SaaSを有効活用した業務改革の実行について、企業の「財務経理」に注目して解説します。

財務経理部門が今後取り組むべきテーマとは?

 財務経理部門といえば、一般的には「会計ルールにのっとった経理処理を行い、出入金を管理し、正確に帳簿に記入することが主な業務である」――という認識を持っている人が多いかと思います。しかし、本来の財務経理部門には、このような業務に加えて、「経営層が戦略を立案して経営判断を行う上で必要になるデータの提供」と、「それらのデータを分析して財務経理部門として示唆を出す」といった役割があります。

 KPMGがグローバルで行った調査でも、多くのCEOが「CFO(財務経理部門)の戦略的助言に高く期待している」との結果が出ています。

Photo 図1:CEOがCFOに期待している役割(出典:「KPMGグローバルCEO調査2018」より)

 図1から分かるように、CFOがなし得る最大の貢献は「企業業績・成長」であり、CEOの考える経営戦略・事業戦略を財務戦略でサポートすることです。

 具体的には、戦略実現に必要な機能を備えた強い財務経理部門を確立し、そこでさまざまな施策を立案・実行することによって最適資本構成を実現するとともに、戦略を数字に置き換えること、その数字の背景を理解し意味づけを行うこと、それを経営層に的確に伝達して意思決定を支援することなどが求められています。

 つまり経営層が求めている財務経理機能とは、記帳(取引記録)や照合・チェックなどの低付加価値業務をできるかぎり効率化し、図2のように、財務経理機能の階層別の業務にかける工数を逆転させる体制を構築することで、ビジネスパートナーとして付加価値の高いサービスを提供すること、といえるでしょう。

Photo 図2:財務経理機能の現在と将来像の工数比較(出典:KPMGコンサルティング)

 また、図1から、CFOは「ガバナンス」についても高い期待を寄せられていることが分かります。

 グループ全体の管理のためには「ガバナンス強化が不可欠」という認識が定着していることもあり、コーポレートガバナンスにおける組織内外の仕組みづくりやモニタリングチェックといった「不祥事防止・リスク管理・セキュリティ対応」に加え、近年は、「ステークホルダーへのガバナンス情報の開示」に関しても貢献することが期待されています。コーポレートガバナンスコードの対応についての検討が進む日本国内の上場企業では、より一層、その期待値が高まっていると思われます。

 以上から、財務経理部門は、次の3つの改革テーマに注力して取り組むことが重要といえます。

  1. 経営陣の意思決定支援の強化……CEOのビジネスパートナーとして企業の業績・成長へ寄与するため、意思決定の支援機能を強化すること
  2. グループ管理機能の強化……業務プロセスの標準化やガバナンス強化を進め、グループ管理機能を強化すること
  3. 業務の効率化……非効率業務の削減やオペレーションの見直しなどで業務効率を上げ、高付加価値業務にかけられる工数を確保すること
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