「ITインフラ運用課題を抜本的に解決する」 キンドリルが提案するアプローチは「運用コストが8割」になる真因とは

既存インフラの維持や保守に予算と工数を取られて「新しいことに取り組む余裕がない」という声は多く聞くが、余裕を生み出すためにいたずらにコスト削減や効率化に走れば既存ビジネスに悪影響が及ぶ可能性がある。正しい変革のアプローチとは何か。

» 2021年12月24日 10時00分 公開
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 デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて、ITを活用して既存ビジネスの変革や新たなビジネスモデルの創出に取り組む企業の多くは「ビジネスを支えてきたITインフラの維持管理」という積年の課題を抱えている。

 経済産業省の『DXレポート』によれば、日本企業ではITインフラの運用コストがIT予算の約8割を占めており、既存ITインフラの維持や運用にコストと工数を奪われて新たな取り組みに乗り出す余裕を持てないのが実情だ。

 この状況に対して「DXを実現するには既存ITインフラを改善しながら新たな取り組みに乗り出すアプローチが不可欠です。システム運用にメスを入れて高度化を目指すことが鍵になります」と指摘するのは、キンドリルジャパン(キンドリル)の大津浩司氏(テクノロジー本部 技術戦略部長)だ。

 2021年9月1日付でIBMのグローバルテクノロジーサービス部門から独立し、インフラストラクチャサービスを提供する企業としてスタートを切ったKyndryl。その日本法人であるキンドリルは、社会基盤を支える金融や運輸、製造業界などの企業を対象に、ITインフラの設計や構築、運用を支援している。“日本社会の安全、安定的な運用”を縁の下で支える存在だ。

キンドリル 大津浩司氏

 「社会やビジネスを支えるシステムについて『安定的に運用していれば変革は不要だ』という考え方もありますが、その結果多くの伝統的な企業が成長できていない現実があります。従来の運用の仕組みや技術、予算などのポートフォリオ全体を見直してシステム運用を高度化しながら、事業構造を適切にトランスフォームさせる必要があります」(大津氏)

 ITインフラ運用を高度化するため、RPAで運用を自動化したり、構成管理ツール「Ansible」でサーバ構築を自動化してアプリケーション開発工数や期間を削減したりする企業もある。大津氏によればこれらの取り組みは、開発や運用プロセス全体を視野に入れていないため局所的な自動化にとどまっており、エンド・ツー・エンドの効率化やスピードアップにはつながっていないケースもあるという。

 「プロセス全体を変革するには局所的な技術導入だけでなく、組織や企業文化も含めて改善すべきです。このためには『2025年の崖』という目前の課題解決だけを考えるのではなく『10〜20年先を見据えて業務や組織の在り方をどのように変えていくか』という長期的な視点が求められます」(大津氏)

コストや工数を膨らませている“真因”に目を向けよ

 では具体的にはどのように取り組むべきなのか。大津氏はこれについて「2つのアプローチがある」と話す。1つ目は既存ITインフラ運用のコストを削減し、デジタルビジネスをはじめとした新規領域への投資に浮いた予算を回すアプローチだ。

 2つ目は新規領域に加えて既存ITインフラ運用にも追加投資しながら、システム全体のトータルコストを下げるアプローチだ。キンドリルは長期的な視点からこちらのアプローチを推奨している。

 「大切なのは目先の課題をピンポイントで解決することではなく『本当に必要な運用業務は何か』『そのための適切なプロセスや手段は何か』を考え、運用の仕組みそのものを根本から見直すことです」(大津氏)

 キンドリルの関 克隆氏(テクノロジー本部 技術戦略)によれば、短期的なコスト削減を重視したことで重要な判断を誤るケースも多いという。

キンドリル 関 克隆氏

 「ビジネスの根幹を支えるシステムで場当たり的にコスト削減を追求するとシステムの可用性や運用品質が下がり、ユーザー満足度低下につながる恐れがあります。しかし安定性を重視して不必要に信頼性を高め過ぎると、運用コストがさらに上昇しかねません。そこでSRE(Site Reliability Engineering)の考え方を取り入れつつ、『ビジネスの重要度に最適なサービスの健全性』を保つことが鍵になります。ビジネス目的とビジネスインパクトを起点に、各ワークロードを最適なサービスレベルで維持し、運用する仕組みを考えることで、おのずとトータルコストが下がる環境を整備できます」(関氏)

 日本企業では経営とITが分断されているケースもあるが、このようにビジネス起点で運用ポートフォリオを組み直すことは「経営指標に沿ったITインフラを作る」ことに他ならない。「『ITコストを削減する』のではなく『事業運営のための予算を適正化する』ことを目指すべきでしょう」(大津氏)

SoR・SoEでの実績を基に、顧客企業のビジネス成長を支援

 しかし業種や企業規模、ビジネス特性が各社によって異なる以上、全ての企業に最適化された運用ポートフォリオの「正解」は存在しない。そこでキンドリルは顧客にアセスメントする際に、「顧客のITインフラ運用の現状を可視化してペインポイントを把握した上で、取り組みの優先度を決めてロードマップを描くこと」を重視している。

 「『技術』だけでなく『プロセス』『人』『ガバナンス』『カルチャー』といった組織運営や事業運営の要件を踏まえて、独自の成熟度モデルでアセスメントを進めます。技術については6つの領域に整理しており、メインフレームのモダナイゼーションや運用管理から、マルチクラウド環境やクラウドネイティブ環境の管理など、多様な技術支援を用意しています。アセスメントに基づいてサービスを選択し、策定したロードマップに沿って提供します」(大津氏)

 キンドリルは技術支援の他、事業部門の意見を取り入れつつDevOps推進に向けた組織変革をしたり、組織横断的なクラウドCoE(Center of Excellence)を設置したりと、技術を使いこなせる組織や文化に生まれ変わるための支援も提供する。顧客企業に技術やノウハウ、カルチャーが根付き、ITインフラを主体的に制御できるようになるまで伴走する点が、運用アウトソーシングやマネージドサービスなどとの大きな違いだ。

キンドリルの戦略(出典:キンドリル提供資料)

 大津氏によれば、これらの支援を提供する上でのキンドリルの強みは、IBM時代から積み上げてきた実績とノウハウだという。システムの安定性を重視したSoR(Systems of Record)と、変化への対応力を重視したSoE(Systems of Engagement)という両方のシステム領域で支援してきたノウハウは、昨今のスピード重視に起因するシステム品質のトラブルを回避する上でも役立っている。

 「DevOpsといったアジャイルのアプローチで開発、運用を支援するベンダーやSIerは多くある中、グローバル規模での基幹システムの運用実績を持つ企業は少数だと思います。キンドリルは、ガバナンスやコンプライアンス、リスク管理、SLA(Service Level Agreement)などエンタープライズのITインフラ管理要件を踏まえたベストプラクティス、リファレンスアーキテクチャ、成熟度診断、事例などを豊富に提供して柔軟にプロジェクトを支援します。近年多くのシステムがバックエンドの基幹システムと接続されたことで、トランザクションウォークスルーの複雑化を招いています。キンドリルはフロントからバックエンドまで一元的にシステムを監視する仕組みを整備し、スローレスポンスやサービスのリリース遅れを解消するなど、単なる“技術導入”にとどまらず“ビジネスの改善”を包括的かつ継続的にサポートします」(大津氏)

 キンドリルはIBM時代からクラウドネイティブのメソッドやカルチャーに精通しており、オープンソースコミュニティーの発展にも貢献してきた。この知見を生かして、SoE領域ではベンダーフリーで目的に適切な手段を組み合わせるオープンなスタンスに立つ。

 「IT部門の運用担当者がクラウドネイティブの知識を習得するのは困難ですが、SoRとSoE両領域のシステム連携が求められる以上、どうしても知識を習得しなければなりません。キンドリルは、SoE領域でのエンタープライズへの支援実績を生かしてクラウドネイティブの知識やメソッド、カルチャーの習得をご支援します」(関氏)

顧客と一緒にチャレンジする仲間でありたい

 キンドリルの強みである「アセスメント力」と「運用ポートフォリオの最適化」は単に顧客の要望に応えるということではない。大津氏によれば、顧客企業にアセスメントする中で、要望とは異なるところに改善点を見つけ出したこともあるという。顧客から「運用業務を自動化したい」という相談を受けたが実際には「アプリケーションのモニタリング」が優先事項だったケースや、「クラウド運用を効率化したい」という相談を受けたが「プロセスや組織連携の変革」が必要と思われるケースなどがあった。

 技術のプロとして「要望をうのみにせず、適切な手段を提案する」「ビジネス起点で各ワークロードの重要度やSLAなどを把握し、真に必要な運用業務、適切な手段を見極める」という同社のスタンスが、「経営指標に沿ったITインフラ」への変革を強力に後押しする。大津氏は「多数の企業支援を通じて、日本全体の成長を促していきたい」と話す。

 「アセスメントを通じて、既存ビジネスを伸ばして新たな価値を創出する上で“本当に必要なこと”を一緒に探していきます。技術だけでなく、運用プロセスの見直しや人材教育など、組織、カルチャーの在り方まで含めて変革を支援します。“ベンダー”と“ユーザー”といえば、受注者と発注者という立場になりがちですが、当社は事業を共に伸ばすパートナーとして、顧客のチャレンジを支えて伴走する仲間でありたいと考えています」(大津氏)

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提供:キンドリルジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年1月8日