“クラウド抵抗国”日本における業務自動化の未来とは エバンジェリストが語る“RPAの限界”と“iPaaSでできること”日本独自のハイパーオートメーション実現のカギは

多くの企業が自社の業務プロセスを自動化して生産性向上を目指す中、RPAに代わり注目を集めるのがiPaaSだ。本連載は日本企業がiPaaSを使いこなして「ハイパーオートメーション」を実現するポイントを全3回で紹介する。

» 2022年01月12日 07時00分 公開
[吉田育代ITmedia]

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 2016年の黎明期から5年が経過してRPA(Robotic Process Automation)は普及期に入った。多くの企業が全社や部門間でRPAを導入して業務プロセスの改善を進めている。しかし「ロボットの管理・運用が煩雑」「期待したROI(投資利益率)が出ない」という声も聞かれ、その限界も見えてきているのが実情だ。

 そんな中、広範囲の業務プロセスを自動化する手段としてRPAに代わり新たに注目を集めるのがiPaaS(integration Platform as a Service)だ。iPaaSは、業務システムやSaaSから提供されるAPIを連携させて統合し、業務の自動化を図る製品やサービスを指す。近年iPaaSベンダーの日本市場参入が進み、少しずつ認知が広がりつつある。

 本連載は「日本独自のハイパーオートメーション実現のカギは」と題して全3回で、iPaaSの概要や最新事例、RPAを導入・活用する上で日本企業が持つ根本的な課題、日本企業がRPAとiPaaSを使いこなしてハイパーオートメーションを実現するポイントなどを明らかにする。第1回はRPAが直面する課題とともにiPaaSの概要やメリット、デメリット、米国での先進事例を解説する。

国内で着実に進むRPA導入 その陰には“クラウド抵抗国”という負の側面も

 iPaaSについて解説する前に、まずは国内におけるRPA導入の現状を明らかにしよう。

 日立ソリューションズの松本匡孝氏(営業統括本部 インサイドセールス第1部 部長代理/エバンジェリスト)によれば、日本企業でのRPA導入は着実に進んでいるという。下図は日本企業におけるRPA導入率の経年変化を示すもので、ブルー系で着色された部分は企業内でRPAが導入された割合だ。調査結果によれば2019年に導入率が大きく拡大し、2021年段階は約30%まで伸びた。

日本企業におけるRPAの導入率(出典:日立ソリューションズ提供資料)

 この背景には何があるのだろうか。松本氏は日本でRPA導入が進む理由について以下のように推測する。

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