データ活用の肝は“プロセス最適化”と“プラットフォーム化”――TDSL新社長が語る

ビジネスにおける積極的なデータ活用が求められる今、ITベンダーとしてはこの支援に向けてどのような方向性を打ち出していくべきなのか。東芝デジタルソリューションの社長である岡田俊輔氏が同社のデジタル事業戦略を詳細に語った。

» 2022年08月12日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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 企業におけるデータ活用ニーズの高まりを受けて各ベンダーがしのぎを削っている。東芝グループの子会社である東芝デジタルソリューションズ(以下、TDSL)はこれに向けてどのような取り組みを進めているのか。

 2022年3月に東芝の執行役上席常務CDO(最高データ責任者:Chief Data Officer)、及びTDSLの取締役社長に就任した岡田俊輔氏が同年8月4日、同社のデジタル事業戦略について語った。

DEからDX、そしてQXへ TDSLのデジタル事業戦略とは?

 東芝グループは「人と、地球の、明日のために。」を経営理念に掲げて、「人」の領域では「一人一人の安心安全な暮らし」を実現するために「誰もが享受できるインフラの構築」を、「地球」の領域では「社会的・環境的な安定」に向けて「つながるデータ社会の構築」を、そして「明日」の領域では「子供たちのために」デジタルとデータの力で「カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー」を実現する方針だ。

東芝グループの経営理念と目指すべき姿(出典:TDSLの発表資料)

 同グループはこの理念に向けて複数の事業会社を分社制度で運用している。エネルギーシステムソリューション事業領域では東芝エネルギーシステムズ、インフラシステムソリューション事業領域では東芝インフラシステムズなど、事業領域は多岐にわたるが、TDSLはデジタルソリューション事業領域を担っている。

 では、上記の経営理念で挙げたデジタルエコノミーの構築に向けてTDSLがどのようなデジタル事業戦略を展開するのかを見ていこう。岡田氏によれば、TDSLは以下3つのプロセスでデジタルエコノミーの発展を目指す。

デジタルエコノミーの発展と事業環境の変化(出典:TDSLの発表資料)

 1つ目は「Digital Evolution」(以下、DE)だ。これは東芝グループが関わるさまざまな事業領域の中で、企業内のプロセスやバリューチェーンをデジタルの力で最適化する取り組みだ。具体的には、IoTからデータを収集したり、収集したデータでデジタルツインを構築したりして、サイバー空間とフィジカル空間を連携させる「サイバーフィジカルシステム」(以下、CPS)をより一層発展させる。

TDSLの岡田俊輔氏

 「デジタル化の価値はサービス化であり、リカーリング化だと考えています。一過性にシステムソリューションを開発して納品するのではなく、継続的に利用してもらいさらに最適化を磨き上げていくことがCPSの狙いです」(岡田氏)

 2つ目は「Digital Transformation」(以下、DX)だ。これは世間一般で指す“デジタルトランスフォーメーション”より狭義の意味で、DEを経てたまったデータやビジネスモデルを集約し、顧客同士がマッチングできるようなプラットフォームを構築する取り組みだ。1社ではなく複数社でエコシステムを形成し、データの掛け合わせによって新たなビジネス価値を生み出すことを目的とする。

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