日本テレビはAWSを活用して番組作成を効率化する。これまでの課題に対し、「Alligator」を使うことでどのような変化が生まれるのか。
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Amazon Web Services(以下、AWS)は2022年9月30日(現地時間)、同社のブログで日本テレビがAWSを活用した番組制作ワークフロー刷新システム「Alligator」の運用を開始したと発表した。
番組制作の作業工程(ワークフロー)は、「1つの放送番組あたり数百GB〜数TBのデータ量を持つ収録素材の運搬作業」「収録素材を映像編集作業に適したデータフォーマットへ変換する作業(デジタイズ)」などがある。これらの作業は時間を要する上に、データ紛失のリスクや人と人の接触による感染リスクを伴い、クリエイティビティ性が出しにくい作業で、番組制作ワークフローの課題だった。
そこで同社は、課題解決のために番組制作ワークフロー刷新システム「Alligator」をAWS上に構築した。
Alligatorは、番組制作業務を効率化するためにTV局の制作フロアや各番組スタッフルーム、制作会社、ポストプロダクションなどさまざまな場所を高速ネットワークでつなぐ。各場所にはNTT東日本が提供する高速広帯域回線「フレッツ・キャスト」を接続する。
フレッツ・キャストによる通信はインターネット回線より高速かつ安定的なことから、伝送時間の短縮に加え伝送時間の見込みを立てることが可能だ。伝送時間の見込みがつけば、映像編集者の配置やスケジュールが組みやすくなり、無駄な待ち時間を削減できる。
AWSのクラウドには、NECの「Media-Serpla MAMベーシック」をベースとした「Contents Management System」(以下、CMS )が構築される。CMSにはWebブラウザでアクセスでき、素材のアップロードやデジタイズ、共有、検索、プレビュー、ダウンロードなどの機能を用いて、番組制作ワークフローの多くの作業をクラウドで行える。また、各番組や各制作チームの運用に応じた柔軟な権限設定機能を持つ。
CMSのバックグラウンドでは、ファイルベースの動画変換サービスである「AWS Elemental MediaConvert」(以下、MediaConvert )がデジタイズ処理を行う。収録後の数百といったファイルが同時にアップロードされても、MediaConvertは並列稼働して複数のファイル(ハイレゾ/低レゾ編集用素材、プレビューファイル)を一度に生成する。また、アーカイブシステムに保存されているコンテンツを再利用する際は、オンライン申請後に即時連携して「Amazon S3」に保存される低レゾをダウンロードできる。
番組制作ワークフローにおいて、デジタイズや素材貸し出しに時間を要する事は制作時間の増大に直結するが、MediaConvertやAmazon S3などの伸縮自在のクラウドリソースを活用する事で、制作時間の短縮を実現する。
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