「クラウドは雲のようにふわふわで、データは蒸気のように広がっている」状況を解決するには.NEXT 2023 レポート

クラウドを取り巻く環境は複雑化している。Nutanixはこのような状況を解決するために新たなサービスを発表した。

» 2023年05月11日 15時15分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 クラウドは雲のように“ふわふわ”して複雑であり、データは蒸気のように広がっている――。まさに多くの企業が陥っている状況かもしれない。統合されていない状態でハイブリッド/マルチクラウドを利用すれば無理もない。

 Nutanixは2023年5月9日(現地時間)、このような状況を打破するサービスとして「Nutanix Cloud Platform」の新機能である「Nutanix Data Services for Kubernetes」(以下、NDK)を発表した。本稿は、2023年5月9〜10日に開催された「Nutanix .NEXT 2023」における基調講演を基にNDKを紹介する。

図1 2023年5月10日(イベント2日目)に紹介されたNDK(出典:コーネリー氏の基調講演資料)

NDKとは

 「企業がビジネスを成長させるためには『予測に基づく曖昧(あいまい)な判断』や『運用リスク』を減らす努力が必要です。それを実現できるのがNDKです」

NDKを解説したNutanixのコーネリー氏

 Nutanixでプロダクトマーケティング シニアバイスプレジデントを務めるトーマス・コーネリー氏は基調講演の中でこのように話した。NDKはオンプレミスやパブリッククラウド、エッジに存在するアプリケーションと仮想化アプリケーションのデータを統合できるサービスで、エンタープライズ向けのフルスタックKubernetesである「Red Hat OpenShift」に推奨される選択を含め、ほとんどのKubernetesで動作する。

図2 NDKの概要(出典:コーネリー氏の基調講演資料)

 NDKは「アプリケーションレベルでデータサービスを高速化」「簡素化と統合でリスク軽減」「コスト効率の向上」といった特徴を持つ。

アプリケーションレベルでデータサービスを高速化

 コーネリー氏によると、インフラ管理者の業務はインフラの規模拡大などを受けて日々困難になっており、特にアプリケーションのプロビジョニングや管理といった業務でかなりの工数を要している。NDKはKubernetes上の最新のアプリのデータ保護や復旧、移行、クローン作成、データ管理をサービスとして提供するため、管理者は時間に関係なく、業務効率を向上できるという。

簡素化と統合でリスク軽減

 運用が複雑になれば管理もその分困難になり、セキュリティ面でのリスクも高まる。これを解決するにはインフラストラクチャの運用を簡素化し、統合する必要がある。NDKはポリシー管理を通じて複数のKubernetesクラスタとNutanixのストレージサービスを単一の管理プレーンに統一し、ガバナンスの確保を実現した。

 「NDKではこれらの統合されたデータを一つのデータで容易に確認することができ、ユーザーはそれらを迅速にビジネスに活用できるでしょう」(コーネリー氏)

コスト効率の向上

 多くの企業がクラウド活用におけるコスト効率を重要視している。どのようにリソースが消費され、そこにどれ程のコストを要しているのかを理解することは、将来的にビジネスに大きな影響を与える可能性があるからだ。NDKはコスト効率を向上させるためにアプリケーションの操作を簡素化した。

 「運用が統一され簡素化できれば、企業は無駄なリソースやコストを削減でき、それらをより有効な場所に充てることが可能になります」(コーネリー氏)

図3 Nutanixは統一されたプラットフォームで提供する価値(出典:コーネリー氏の基調講演資料)

Multicloud Snapshot Technology

 Nutanixは2023年5月9日(現地時間)、クラウド間のデータモビリティを実現するために「Multicloud Snapshot Technology」(以下、MST)も発表した。MSTは「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)などに直接的なスナップショットを可能にする。これにより、ハイブリッド/マルチクラウドでのデータ保護やリカバリーなどが可能になる。また、この技術を活用したNDKを通じて複数のクラウドインフラストラクチャを対象に、Kubernetesのアプリケーションとデータのシームレスな保護と移行が可能になる。

 クラウドのふわふわ感とデータの不明瞭さといった課題は、これらのサービスで解決されるのだろうか。クラウド環境における“土砂降り”を防ぐためにも、NDKという傘は企業が検討すべき有効な手段かもしれない。

(取材協力:ニュータニックス・ジャパン)

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