Slackが発表した「Slack GPT」を利用することでユーザーは何ができるようになるのだろうか。
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Slackは2023年5月4日(現地時間)、同社が提供するコミュニケーションツール「Slack」に会話型AI(人工知能)を実装した「Slack GPT」を発表した。Slack GPTには営業やマーケティング、ITなど、特定の業務機能を対象としたネイティブAI機能が含まれる。今後はβ版として提供され、2023年の夏ごろから本格的に展開される予定だ。
Slackでプロダクトシニアバイスプレジデントを務めるアリー・レール氏によると、ユーザーはSlack GPTで簡単なプロンプトを用いて、AIアクションを埋め込むノーコードワークフローを構築できる。
既存製品にAI機能を実装するプロバイダーは増加しており、SlackはZoom(注1)やAtlassian(注2)、Stack Overflow(注3)、クラウドのハイパースケーラーといった企業に加わることになる(注4)。MicrosoftとGoogleも効率化パッケージソフトにジェネレーティブAI機能を搭載している。
Slackは2023年3月に「ChatGPT」を活用したアプリを発表し(注5)、β版としてユーザーに提供した。レール氏はこれに加えて2023年5月4日の発表を受け「ジェネレーティブAIのレベルはSlackでの会話に近づいている。今後もさまざまなSlackの製品との連携を目指す」と話す。これにはチャンネルサマリーやハドルトランスクリプト、「Canvas」と呼ばれるテキスト作成ツール、ワークフローのノーコード作成などが含まれる。
同氏はSlack GPTの今後について、「Anthropicの『Claude』やSalesforceの大規模言語モデル(LLM)など、ユーザーが選択した言語モデルを連携できるようになるだろう」と述べる。
また、ユーザーはSlack GPTの体験として、コラボレーションプラットフォームとSalesforceの「Customer 360」を接続するための会話型インタフェース「Einstein GPT app for Slack」が利用できるようになる予定だ。
これによりユーザーは、ジェネレーティブAIを特定の機能向けにカスタマイズできるようになる。例えばカスタマーサービスに従事するスタッフは、AIが行う回答や対応にアクセス可能になる。また、特定のチャンネルやキャンバスで共有するケースサマリーなども自動生成できるようになる。
この機能を利用する開発者やIT従事者はチャンネルのアクティビティーを自動的にスキャンし、インシデント管理などもできる。
ジェネレーティブAIには幅広い関心が集まっているが、システムの成功は取り込むデータ次第であるためデータプライバシーに関する課題も残っている(注6)。これに関してSlackは電子メールで「ディレクトリにある全てのアプリは公開前に徹底的な審査を受けている。Slack GPTはSlackのセキュアなプラットフォームを使っており、さまざまな設定や管理が可能なため、ユーザーは自身のニーズに合ったセキュリティやコンプライアンスを選択できる。また、管理者がアプリの承認プロセスを実装すれば、許可なくアプリがインストールされることはない」と述べている。
(注1)Zoom jumps on ChatGPT bandwagon, integrates generative AI features(CIO Dive)
(注2)Atlassian embeds generative AI to level up knowledge management work(CIO Dive)
(注3)Stack Overflow embraces generative AI as developers voice concerns(CIO Dive)
(注4)Google Cloud and Microsoft tease plans to integrate generative AI into core products(CIO Dive)
(注5)Introducing the ChatGPT App for Slack(Salesforce)
(注6)Generative AI a ‘game-changer’ but businesses are worried about the ethics(CIO Dive)
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