NECがデータドリブン経営推進に向けた業務改革でCelonisを採用

NECが各部門へのヒアリングに頼らず、データに基づいて業務の実態を把握するプロセスマイニングの手法を活用した業務改革を推進する。既に700時間に相当する業務の無駄を削減したという。

» 2023年06月12日 11時03分 公開
[ITmedia]

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 自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するNECが、業務アプリケーションの利用状況を観測して業務プロセスを可視化、分析するプロセスマイニングツールである「Celonis」を利用した業務改革を進めている。2023年6月9日、Celonisを提供するCelonis社が発表した。

経営スピード向上に向けてプロセス革新、調達業務で年間700時間分の効率化も

 NECは2025年までの中期経営計画に基づき、社内のDX推進を進め、経営スピードや質の向上を目的にデータドリブン経営を推進する。

 同社はこの取り組みの中で、オンプレミスやクラウドで稼働する業務システムの整理や削減を進めてきたが、事業部門へのヒアリングなどに基づく施策立案では業務プロセス全体の問題が特定できず、改善目標やKPI設定が難しいという課題があった。

 例えば調達の領域においては、各申請案件がワークフローのどこで遅延しているかを把握するために、システム運用担当者が手作業でデータを抽出、加工した上で分析する必要があった。こうした業務はシステム運用担当者への負担が大きく、分析に時間がかかり各申請案件の担当者がタイムリーにフォローができないといった問題が発生していた。

 NECはそこで、既存業務システムからデータを取り組んで業務全体の実態に基づいた業務プロセスの可視化と分析を進め、データに基づく業務改善サイクルを確立する目的でプロセスマイニングの導入を検討した。プロセスマイニングツールの適用対象をO2C(Order-to-Cash)や調達からサプライチェーンまでの広範囲に設定し、自社内の多様なシステムとの連携や可視化までのスピードを重視して製品選定を進めた。

 SAPアプリケーションや「ServiceNow」「Salesforce」などとの連携コネクター(API)が標準で用意されており、プロセスの可視化・分析から改善アクションまでを単一プラットフォーム上で実現できる点がCelonisを採用する決め手となった。

 NECは2022年5月から約2カ月間、基幹システムの実データをCelonisに取り込んでPoV(価値実証)を実施し、Celonisプラットフォームで業務プロセス改善サイクル(可視化、分析、改善)を回せることを確認して正式導入を決定した。約1カ月半で適用プロセスを選定してCelonisの導入設計や開発、実装、テストまで実施し、2022年10月からCelonisの本番運用を開始した。

 例えば調達領域では各部門による手作業のデータ抽出作業やフォローなどの負荷を大幅に軽減でき、年間で700時間超の作業時間削減と運用コスト削減効果を見込んでいる。

 NECは、今後グループ会社を含めCelonisの適用領域を拡大する方針だ。

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