アクセンチュアがAI人材8万人を獲得、3大クラウドとAI分野で協業

アクセンチュアは今後3年間で8万人にまでAI人材を拡大する計画だ。人材育成や採用、企業買収も視野にいれる。併せて3大クラウドそれぞれとも協業を発表した。生成AIの企業利用は本格化するだろうか。

» 2023年07月14日 08時00分 公開
[原田美穂ITmedia]

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 アクセンチュアが生成AI(人工知能)の企業導入拡大を見越して、データおよびAI関連事業に今後3年間で30億ドルを投資する。生成AIの導入支援を目的にAmazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google Cloudとの協業も一斉に発表した。2023年6月に米国で発表していた内容だが、各社との協業については2023年7月13日にあらためて日本向けにアナウンスしたかたちだ。

AI導入のスキル保有人材をプラットフォームごとに獲得、配置

 今回の発表は、生成AIを含むAI関連のサービス開発でしのぎを削る主要3クラウド事業者と協業を強化し、グローバルでAI導入支援スキルを持つ人材を育成、配置するなど、企業のAI導入の本格化を見据えた全方位での体制強化と考えられる。アクセンチュア自身も自社内で生成AIアプリケーションやAIモデル運用の基礎となるデータ基盤などで各クラウドサービスを活用し、ノウハウ獲得を急いでいる。

AWS:AIスキル保有人材を拡大に向けて企業買収も視野に

 AWSとの協業では「アクセンチュアAWSビジネスグループ」(Accenture AWS Business Group)を通じ、新たな業界特化型および業界横断型のソリューション、事前構築済のモデルやトレーニングプログラムの開発に戦略的な投資を進める。対象領域は「金融サービス」「ライフサイエンス」「カスタマーサポート」「サプライチェーン」「サイバーセキュリティ」など。

 AWS関連のAIスキルに特化した人材の採用と育成も拡大する。企業買収やグローバルチームへのAWSスキル提供やトレーニング、認定資格なども含まれる。

 協業では、生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」の導入および「Amazon Titan」など最先端の基盤モデルを活用する他、クラウド機械学習(ML)プラットフォーム「Amazon SageMaker」をはじめとしたAWSのMLテクノロジーの導入を支援する。 開発者向けには「Velocityプラットフォーム」で新たに「Amazon CodeWhisperer」を利用して生産性を向上させ、業務のあらゆる面で生成AI技術を活用できるように支援する機能も提供する。

Microsoft:アバナードと共同でユースケースを創出

 Microsoft(「Microsoft Azure」)との協業では、業界・機能別ソリューションを新たに共同で開発し、「金融」「ヘルスケア」「サプライチェーン」「コンタクトセンター」「やセキュリティ領域」でのユースケース創出を目指す。

 アクセンチュアとMicrosoftの出資によるSI企業であるアバナードと共同でMicrosoft OpenAIチームと連携して協業を推進する。アクセンチュアはすでに社内で「Microsoft 365 Copilot」「Security Copilot」「GitHub Copilot」「Semantic Kernel」「Azure OpenAI Service」を試験導入しており、その知見も生かす計画だ。

Google Cloud:イノベーション・ハブに専門人材を共同で配置、人材育成も

 Google Cloudとの協業においては「Accenture Google Business Group」で培われた知見とGoogle Cloudの主要AIサービスである「Vertex AI」「Generative AI App Builder」を組み合わせて、19の業界と6つの業務機能にわたるビジネスプロセスの改善へのAI適用を進める。戦略的重点領域は、「セールスおよびマーケティング」「サプライチェーン」「ヘルスケア」「小売および消費財」「金融サービス」「サステナビリティ」「セキュリティ」「オペレーションサービス」だ。

 今回の協業体制強化の一環として、両社の生成AIエンジニアリングの専門チームを世界各地の主要拠点にある「アクセンチュア・イノベーション・ハブ」に配置する。同チームは「アクセンチュア・アドバンストAIセンター」と連携して「数週間や数カ月ではなく、数日間で価値を創出できるよう、それぞれのハブで迅速に実証や試作を実施する体制を構築する」としている。研修カリキュラムやAIアンバサダー認定プログラムも共同でスタートさせる。

 アクセンチュアはデータ主導型ビジネスの基盤として自社で「Google Cloud」を活用する。

 今回の協業での取り組みは各クラウド事業者のAIサービスやソリューション提供の方向性に則した取り組みが盛り込まれているが、いずれの協業においても、AIサービスの導入支援やユースケース創出が可能な人材を主要拠点に配置し、アクセンチュアと各クラウド事業者が共同でAI導入を推進する。

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