「花屋にお願いしてでもサービスを維持」 Amazonのラストマイル配送プログラムただし毎日稼働が条件

顧客ニーズの多様化が進み、Amazonは配送サービスの質を保つのに苦慮しているようだ。小規模事業者に週7の配達を委託する「Amazon Hub Delivery program」は課題を解決するのか。

» 2023年07月19日 08時00分 公開
[Max GarlandRetail Dive]

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Retail Dive

 Amazonは2023年6月26日、同年末までに2500以上の小規模事業者に荷物の配送を委託することを目指すと発表した。

パートナーとWin-Winな関係を築ける「Amazon Hub Delivery program」とは

 Amazonが提供する「Amazon Hub Delivery program」に参加するパートナー企業は、自社のスタッフと車両を使い、その地域のAmazonの顧客に毎日20〜50個の荷物の配達をすることになる。Amazonによると(注1)、パートナー企業には配達した荷物に応じて報酬が支払われ、日中の空いた時間に配達できる。

 Amazonの広報によると、米国内の23の州で積極的にパートナー企業を探している。同社は特に地方と5つの大都市(ニューヨーク、ボストン、シアトル、ロサンゼルス、ニュージャージー州ホーボーケン)で重点的に提携先を求めている。

 Amazon Hub Delivery programによって、Amazonはラストマイル配送において従来の宅配便業者を使う以外の方法でサービスを補完できるようになった。また、Amazonは同プログラムによる請負業者や「Amazon Flex」による個人事業主のドライバーも活用している。

 Vox Mediaが運営するニュースサイト「Vox」が2022年に掲載した記事によると(注2)、Amazonは地方の配送コストを削減するために少なくとも2021年から「Amazon Hub Delivery program」で中小企業を募集していた。

 Amazonはフルフィルメントセンターと配送ステーションなどの巨大な物流ネットワークを持っているが、人口の少ない地域では配送網が限られ、小口貨物輸送会社のUPSや米国郵政公社のような運送業者に配送を委託していた(注3)。

 Amazonのベリル・トメイ氏(ラストマイルデリバリーテクノロジー担当 バイスプレジデント)は2023年6月26日、「顧客のニーズが進化するにつれて地域ごとに配送方法に違いが生まれている。過疎地や大都市といった地域の特性に合わせてより軽快なソリューションを見つける必要がある」と語った(注4)。

 Amazon Hub Delivery programによって、パートナー企業は自社の製品やサービス以外から収入を得られるようになった(注5)。Amazonによると、パートナーは年間最大2万7000ドルの収益を上げられる。Amazonはこのプログラムを通して花屋やコーヒーショップ、衣料品店、ガソリンスタンド、配管工、ヘアサロンなどとの提携を望んでいるという。

 Amazonはこのプログラムの対象となる各地域に複数のパートナー企業を持つ予定だ。パートナーになるには保険証書や事業体の書類など、同社のWebサイトに掲載されている幾つかの条件があるが(注6)、配達の経験は必要ない。

 同社のWebサイトによると、一度パートナーになった企業はAmazonのために週7日荷物を配達することを約束し、Amazonはパートナー企業が指定した場所に荷物を置く。指定された場所は24フィートのトラックが駐車でき、荷物を降ろせなければならない。

 Amazonは「1日に配達する荷物の数は、地域の配送状況やパートナーのビジネスに合わせたものとなる」としている。

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