CRMへの生成AI適用はどうなる? IBMとSalesforceが提携

IBMとSalesforceがCRMへの生成AI導入で提携した。CRM運用は生成AI導入でどう変わるだろうか。

» 2023年09月05日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 IBMとSalesforceは2023年8月31日(米国時間)、世界のさまざまな業種の企業がCRM(顧客関係管理)へのAI(人工知能)導入を加速できるよう支援するため協業すると発表した。両社は共同で、ユーザー企業の顧客やパートナー、従業員のエクスペリエンスに革新をもたらすと同時に、データ保護も支援するとしている。

SalesforceのAIをwatsonxで補完

 今回の協業に基づいてIBM ConsultingとSalesforceは、生成AIによるビジネス変革の加速を支援するとしている。両社は、AI技術の導入推進、データと洞察の統合、AI技術のデリバリーによる企業価値向上に関するサービスを提供する。

 AI技術の導入推進についてIBM Consultingは、ビジネス変革のためのオペレーティングモデルである「IBM Garageメソッド」を含む、業界の専門知識と革新的なデリバリーモデルを活用し、AI技術の導入と展開を支援するとしている。データと洞察の統合に関しては、Salesforceの生成AIツールの導入支援に加えて、「IBM watsonx」によってソリューションを補完する。IBM watsonxは「バックエンドシステムにロックインされたデータ」を明らかにし、ユーザーと従業員のダイナミックなエクスペリエンス創造を支援するとしている。

 一方、AI技術デリバリーによる価値向上については「IBM Consulting Managed Services for Salesforce」を通じて、AIエクスペリエンスと実装アクセラレーターを利用できるようにする。例えば「IBM Data Classifier」は、業界固有のデータモデルに基づいて学習されたAI搭載アプリケーションで、データマッピングプロセスの短縮を支援する。

 IBM Consultingで生成AI担当グローバル・マネージング・パートナーを務めるMatt Candy氏は、「従業員の生産性向上と同時に、スピード、パーソナライゼーション、利便性によって顧客体験を高めたいというニーズが飛躍的に高まっている。当社はSalesforceとの協業を通じて、企業がビジネスニーズを満たすための助けとなる生成AIの導入を拡大し、加速できるよう支援する」と述べている。

 Salesforceでグローバル・アライアンスチャネル担当EVP兼ゼネラル・マネージャーを務めるSteve Corfield氏は、「企業は生成AIに加速される変革への道を歩み始めている。IBM Consultingのような当社のパートナーは、企業が当社のAIやデータ、CRM技術を活用して、顧客と新たなレベルでつながることを支援する上で重要な役割を果たす。当社とIBMのイノベーションを組み合わせることで、企業がパーソナライズされた魅力的な体験を提供する方法を変革できる」と述べている。

 なおIBM Consultingは2023年初頭、生成AIに特化した専門知識を持つ1000人以上のコンサルタントを擁する「Center of Excellence for Generative AI」の設立を発表した。協調的でオープンなエコシステムアプローチを通じて、SalesforceやIBM、その他のパートナー企業の技術を含むエンタープライズ向けAIで、企業のビジネス変革を加速させるため支援するとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ