オラクル、生成AIが“褒めてくれる”従業員表彰サービスを開始Oracle CloudWorld 2023

Oracleが新たに提供する従業員表彰サービスは、企業文化の育成と従業員エンゲージメントの促進を支援するという。Oracle CloudWorld 2023で担当者に話を聞いた。

» 2023年09月21日 05時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

 Oracleは2023年9月20日(現地時間)、「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management(HCM)」(以下、Oracle Cloud HCM)の従業員体験プラットフォームである「Oracle ME」に従業員評価および表彰機能「Oracle Celebrate」(以下、Celebrate)を追加したと発表した。

クリス・ハブリラ氏(出典:筆者撮影)

 Celebrateは、Oracle Cloud HCMの一部であるOracle MEに組み込まれている。人事およびビジネスリーダーは、組織の価値観に合わせて表彰プログラムを設定し、日々のワークフローにピアツーピア表彰を自然に組み込むことができる。従業員体験プラットフォームとOracle Cloud HCMのデータを接続して、従業員にとって何が有効で何が有効でないかを理解できる。

 「Oracle CloudWorld 2023」(期間:2023年9月18〜21日)で実施された記者向けブリーフィングでOracleのクリス・ハブリラ氏(VP of HCM product strategy)に詳細を聞いた。

ピアツーピアで生成AIが果たす役割

 Oracleは、Celebrateを通して従業員にパーソナライズされた体験を提供することで、組織のパフォーマンスやエンゲージメント、定着率の向上を支援する。まずハブリラ氏は、Celebrateを提供するきっかけを語った。

 「私たちの調査では、エンゲージメントの高まりが従業員のリテンションにつながるという結果が出ている。(中略)しかし現実は、『なかなかマネジャーや会社に自分が評価されていない』『本当に自分はこの会社に属しているんだろうか』と考える人が多いという問題がある。そこでCelebrateを提供することで、会社とともにきちんと成長できていることを従業員に理解してもらいたいと考えている。また、データを基にして正確な知見を蓄積できるようにしたい」

 また、Oracle Cloud HCMの機能の一部としてCelebrateを提供するメリットについては次のように語った。

 「フィードバックや評価といった従業員エクスペリエンスをHCMにまとめることを目的としている。全てを一つのクラウドにまとめて、エンゲージメントを高めるために使用することで、リアルタイムでリテンションを高めたい」

 HCMと連携していないピアツーピアサービスは、データがシステムの外にあるため生成AI(人工知能)を活用しずらいなどのデメリットがある。CelebrateはOracle Cloud HCMの一つの機能であるため生成AIが利用可能だ。例えば、「何かの書類を作った」「プログラムを作った」といった時、AIがそれを良いものと判定すればポイントを稼ぐことができる。

機能の詳細を解説

 Celebrateの詳細機能は以下だ。

ピアツーピア評価

 従業員とリーダーは、リアルタイムにビジネスバリューに関連付けられた個人の評価によって、「重要なとき」「重要な場所」で組織の同僚を評価できる。週次パルス調査や電子メール、インスタント・メッセンジャーなど、従業員の日々のルーティンや業務の流れにピア表彰を組み込むことが可能になる。

生成AIアシスタント

 生成AIが従業員の提出物の改善点を指摘することで、ピアツーピア評価を強化することができる。これにより、従業員は組織全体に「インパクトのある表彰状」を迅速に実施できる。

推薦およびイベントベースの表彰

 勤務記念日や昇進などの節目となるイベントや、月間最優秀従業員といった同僚や上司からの推薦に対する表彰ができる。これらの機能は、Oracle Cloud HCMの従業員プロファイルの更新によって開始され、従業員が仲間の業績や重要な瞬間を認識することを促進する。

交換可能なポイント

 従業員は、チームやメンバーから努力が認められたときにポイントを獲得する。これにより、従業員は獲得したポイントを、組織が作成しシステムに統合した報酬と交換できる。

表彰インサイトとダッシュボード

 マネジャーは、チームが最も評価されているポイントや、トップ貢献者の特定、より多くの注意とサポートが必要な個人のハイライトなど、詳細なインサイトを理解し、それに基づいて行動することができる。組織は全従業員の貢献が確実に評価されるよう支援する。

リアルタイム評価とエンゲージメントデータ

 企業は、タイムリーで正確なデータによって、表彰プログラムを継続的に監視し、更新することができる。管理者は組織全体やビジネスグループ、チーム全体のエンゲージメントを追跡することによって、表彰および報奨プログラムの効果を測定し、表彰の取り組みを、離職率やエンゲージメント、生産性などのビジネスインパクトと関連付けることができる。

表彰ベースのソーシャルフィード

 雇用主は、組織やチーム全体の賞賛や表彰のリアルタイムストリームを作成できる。これにより、仲間意識が促進され、気づかれないことが多い日々の努力や称賛、賞賛が可視化される。

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