SAPがGoogle Cloudと協力し、SAP Datasphereに生成AIを導入 両社の取り組みを紹介CIO Dive

SAPは「SAP Datasphere」に生成AIを導入した。最初のユースケースは自動車業界向けだという。

» 2023年10月13日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 SAPは2023年8月29日、データクラウドプラットフォーム「SAP Datasphere」にGoogle Cloudの「Vertex AI」モデルのトレーニングおよびデプロイ機能を導入したと発表した。

生成AIを駆使した新サービスの展開に向け各社と提携

 Vertex AIデプロイ後のSAP Datasphereにおける最初のユースケースは、自動車業界の垂直統合に関するもので、Google Cloudの生成AI(人工知能)をSAPがサポートする「Catena-X」と統合する。SAP Datasphereと「SAP Sustainability Control Tower」をVertex AIツールキットに接続するソリューションは、近日中に利用可能になるようだ。

 今回の協業は、クラウドとAIを巡る既存のパートナーシップを深めるものだ(注1)。両社は2023年5月、SAP DatasphereとGoogle Cloudの「BigQuery」を統合し、データ共有と分析機能を拡大した。

 SAPは既存の企業システムに生成AIを導入し、顧客が利用しているERPやCRM、データシステム上で即座に使えるツールや学習可能なモデルを展開しようと注力している(注2)。

 SAPは生成AIの活用を積極的に推進している。

 SAPはGoogle Cloudだけでなく、2023年5月にMicrosoftとも提携を拡大し、「Azure OpenAI Service」の自然言語処理機能を活用し、人材採用・トレーニングツール「SAP SuccessFactors」を強化した(注3)。

 また、SAPは2023年7月に、AI企業のAleph Alpha、Anthropic、Cohereに投資し、テクノロジーへのコミットメントを深めた。SAPでCEO(最高経営責任者)を務めるクリスチャン・クライン氏は2023年7月の決算説明会で「2023年以内にポートフォリオ全体に新しいAIソリューションと機能を展開することが目標だ」と述べた(注4)。

 SAPが提供する自動車業界向けソリューションでは、サプライチェーンや顧客データの異常、製品の欠陥などの問題を分析するモデルを構築し、訓練ができるようになる。また、サステナビリティツールは、生成AIを使用してESGレポートを作成やサプライチェーンに対する警告、環境に対する影響とコスト分析などを行う。

 Google Cloudのフィリップ・モイヤー氏(AI&ビジネスソリューション担当 グローバルVP)によると、Google CloudもAIに関して企業との提携を強化している。DocuSignはVertex AIを使った契約書アシスタントを試験的に導入しており、Workdayは企業財務・人事管理ツールを自然言語AI機能を活用し強化する計画だ。

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