SAPは「SAP Datasphere」に生成AIを導入した。最初のユースケースは自動車業界向けだという。
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SAPは2023年8月29日、データクラウドプラットフォーム「SAP Datasphere」にGoogle Cloudの「Vertex AI」モデルのトレーニングおよびデプロイ機能を導入したと発表した。
Vertex AIデプロイ後のSAP Datasphereにおける最初のユースケースは、自動車業界の垂直統合に関するもので、Google Cloudの生成AI(人工知能)をSAPがサポートする「Catena-X」と統合する。SAP Datasphereと「SAP Sustainability Control Tower」をVertex AIツールキットに接続するソリューションは、近日中に利用可能になるようだ。
今回の協業は、クラウドとAIを巡る既存のパートナーシップを深めるものだ(注1)。両社は2023年5月、SAP DatasphereとGoogle Cloudの「BigQuery」を統合し、データ共有と分析機能を拡大した。
SAPは既存の企業システムに生成AIを導入し、顧客が利用しているERPやCRM、データシステム上で即座に使えるツールや学習可能なモデルを展開しようと注力している(注2)。
SAPは生成AIの活用を積極的に推進している。
SAPはGoogle Cloudだけでなく、2023年5月にMicrosoftとも提携を拡大し、「Azure OpenAI Service」の自然言語処理機能を活用し、人材採用・トレーニングツール「SAP SuccessFactors」を強化した(注3)。
また、SAPは2023年7月に、AI企業のAleph Alpha、Anthropic、Cohereに投資し、テクノロジーへのコミットメントを深めた。SAPでCEO(最高経営責任者)を務めるクリスチャン・クライン氏は2023年7月の決算説明会で「2023年以内にポートフォリオ全体に新しいAIソリューションと機能を展開することが目標だ」と述べた(注4)。
SAPが提供する自動車業界向けソリューションでは、サプライチェーンや顧客データの異常、製品の欠陥などの問題を分析するモデルを構築し、訓練ができるようになる。また、サステナビリティツールは、生成AIを使用してESGレポートを作成やサプライチェーンに対する警告、環境に対する影響とコスト分析などを行う。
Google Cloudのフィリップ・モイヤー氏(AI&ビジネスソリューション担当 グローバルVP)によると、Google CloudもAIに関して企業との提携を強化している。DocuSignはVertex AIを使った契約書アシスタントを試験的に導入しており、Workdayは企業財務・人事管理ツールを自然言語AI機能を活用し強化する計画だ。
(注1)SAP and Google Cloud Expand Partnership to Build the Future of Open Data and AI for Enterprises(SAP)
(注2)Microsoft adds more AI to ERPs(CIO Dive)
(注3)SAP and Microsoft Collaborate on Joint Generative AI Offerings to Help Customers Address the Talent Gap(SAP)
(注4)SAP Advances Vision of Business AI with Investments in Aleph Alpha, Anthropic and Cohere to Complement $1+ Billion AI Commitment from Sapphire Ventures(SAP)
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