DXが進んでいるとされる米国でさえ、その半数が失敗に終わっている。成功には3つの要素が必要だという。
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KPMGの調査で驚きの結果が明らかになった。同調査によると、回答者(企業幹部)の約半数(51%)が「過去24カ月間を平均的に見るとデジタルトランスフォーメーション(DX)の投資による業績や収益性の向上は得られていない」と答えた(注1)。
KPMGのアティフ・ザイム氏(ナショナル・マネージング・プリンシパル 米国コンサルティングリーダー)は「多くのテクノロジー構想は明確なビジネス戦略ではなく、誇大広告に反応して推進されたものであり、最終的に無駄な支出を招いている」と指摘する。
「その投資が戦略的目標の達成にどう役立つかを、プロジェクトの開始時およびその過程を通じて明確にすることが重要だ」(ザイム氏)
Gartnerは2023年4月に、2023年の世界のIT支出は2022年から5.5%増の4兆6000億ドルになると発表した(注2)。
Gartnerのジョン・デヴィッド・ラブロック氏(リサーチバイスプレジデント)は発表の中で「マクロ経済の逆風がDXを減速させることはない」と述べている。
「多くの国で2023年の国内総生産(GDP)成長率がほぼ横ばいとなり、インフレ率が高まると予測されているにもかかわらず、IT支出は堅調を維持するだろう」(ラブロック氏)
特にソフトウェア分野は、企業が生産性の向上や業務の自動化、その他のソフトウェア主導の変革活動を通じて競争上の優位性を獲得することを目指すため、2023年は2桁成長を遂げる見込みだ。
KPMGの調査によると、新興技術への投資に賛同している企業の数は2022年の10%から2023年には32%と3倍以上になっており、組織が成長とイノベーションを促進する手段として新興技術への投資に前向きになっていることを示唆(しさ)している。
短期的な目標を達成するために最も重要と考えられるテクノロジーは、AI(人工知能)が52%でトップになり、2位はロボティクスで45%、3位はメタバースを含むバーチャルリアリティーで43%だった。
KPMGの調査では、DXプロジェクトの妨げになる可能性が最も高いものとして47%が「ガバナンスと調整の欠如」と答えた。その他の上位にランクインしたものには「組織内のスキル不足」(41%)、「変化を受け入れるのが遅いリスク回避の文化」(40%)、「レガシー技術による制約」(39%)、「サイバーセキュリティやプライバシーの問題」(37%)などがある。
ザイム氏はDXの成功に必要な要素として「投資をビジネス戦略と極めて密接に関連付けること」「潜在的なデータ漏えいなどのリスクをプロジェクトの早い段階で管理すること」「財務、IT、法務のリーダーを含む組織全体の主要な利害関係者の連携を促進すること」を挙げる。
特に、財務責任者は投資対効果の達成に向けた明確な見通しを確保するという点で重要な役割を担っている。この調査はKPMGが2023年4〜6月にかけて、米国の技術系幹部400人を対象に実施した。
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