AI戦略はいまだに多くの企業でCIOに一任されているが、AIの進化に伴い、AIやデータ関連の役職の重要性が高まっている。
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今後5年間で技術導入の計画が進むにつれて、CAIO(最高AI責任者)、CTO(最高技術責任者)、CDO(最高データ責任者)の重要性が高まるだろう。この傾向は企業の生成AIへの関心が高まり続けていることを反映している。
デジタルサービスを展開するWest Monroe Partnersが2024年6月に発表した調査では、5人中2人が今後5年間でCAIOの役割の重要性が高まると答えている(注1)。CAIOは、取締役やバイスプレジデント、シニアバイスプレジデント以上の役職に就いている1000人のプロフェッショナルの中で最も多く選ばれた選択肢だった。
2番目に支持されたのはCDOやCIO(最高情報責任者)で、回答者の11%が今後経営幹部での重要性が増す可能性が最も高いと強調した。
企業は技術系経営幹部を自社の事業戦略に合わせて配置している。しかし、最高デジタル責任者やCAIOのような特定の役割の台頭は、組織や技術の成熟度と連動することが多いとWest Monroe Partnersのケイシー・フォス氏(CCO《最高商務責任者》)は言う。
「5年前は物理的な世界とデジタルの世界、そして両者が混在する世界に対応するために最高デジタル責任者を任命し、準備を整えていた組織もあった。デジタルがあらゆる機能、あらゆる構成要素に浸透している現在、最高デジタル責任者の役割は失われつつあるが、必要性は失われていない」(フォス氏)
AIへの関心が深まる中、AI戦略を指導する役員を任命することは、企業がAIとその導入に多額の投資を計画していることを市場や従業員に示すサインであると同氏は話す。
CAIOのような役職が台頭しているにもかかわらず、企業の大半はいまだにCIOにAIの取り組みの指揮を任せている。
Gartnerが2024年6月26日(現地時間)に発表した1800人のエグゼクティブを対象とした調査によると、企業の4分の1がCIOにAIを一任しているが、半数以上の企業ではAI部門長またはAIリーダーが導入の指揮を執っている(注2)。
Gartnerはこの技術が企業に浸透するにつれて、企業はリーダーシップ戦略を調整することになるだろうと予想している。
「AIは複雑で広範囲に及び、組織のあらゆる仕事や活動、戦略的な議論に影響を与える。しかし、これは組織でAIを指揮する責任者やチームが経営幹部の高い役職でなければならないということを意味するわけではない」と、Gartnerのフランシス・カラモウジス氏(バイスプレジデントアナリスト)は調査発表の中で述べている。
フォス氏によれば、今後5年間は企業がまた新興技術に対処するために、おそらく別の役職が現れることになるという。
「AIがなくなることはないだろう。AIはデジタルと同じように、ビジネスのあらゆる側面に浸透していくだろう」(フォス氏)
(注1)What will the C-Suite look like in 5 years?(West Monroe)
(注2)Gartner Poll Finds 55% of Organizations Have an AI Board(Gartner)
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