チームスピリットはANAホールディングスのグループ企業25社にクラウド型勤怠管理システム「チムスピ エンタープライズ」の導入を開始したと発表した。旧勤怠管理システムが抱えた課題と新サービスの選定理由を紹介する。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
チームスピリットは2024年10月11日、ANAホールディングスのグループ企業25社、約2万5000人の従業員に向けて、クラウド型勤怠管理システム「チムスピ エンタープライズ」の導入を開始したと発表した。チムスピ エンタープライズは、「TeamSpirit EX」の基盤および業務機能を大企業向けに強化したもので、2024年4月にリリースされた。
ANAグループは、航空や貨物、整備、機内食、セールスなどの航空輸送関連事業に加え、旅行や経済圏、地域創生といった非航空(ノンエア)事業を含む、連結54社を中心に多岐にわたる事業を展開している。
これまで、ANAグループの25社では同一の勤務システムが導入され、各社の要件に合わせた異なるシステムになっていた。具体的な要件としては、オフィス業務からシフトによる現場での交代勤務、それぞれの企業における業務開始時間や残業時間の違い、手当集計の独自ルールなどが挙げられる。その結果、働き方改革関連法などの法制度変更や人的資本情報の開示義務化、DEI(多様性、公平性、包括性)推進といった経営環境の変化に対して各社でシステムの改修が必要となり、タイムリーな対応やコスト面に課題があった。
こうした背景から、標準サービスであるクラウドサービスを前提に、法制度の変更やANAグループの多様な勤務制度に柔軟に対応し、企業価値向上を目指してチムスピ エンタープライズの導入を決定した。2024年6月からANAグループ25社へ順次展開が進められている。
チムスピ エンタープライズは、グループ企業の異なる就業規則や勤務体系に対応可能で、勤怠管理業務の効率化といった、クラウドサービスでありながら柔軟性がある点が評価された。また、今後は迅速かつ正確な人的資本情報の整備が期待されている。
ANAホールディングスの山本勝敏氏(グループ労政部 部長)は、「育児や介護、その他の働き方に関する法整備も進み、より柔軟で多様な働き方が促進される中、ANAグループでも多様な立場の社員が健康で安心して働き続けられる環境作りが必要不可欠と考えている。また、人的資本の情報開示の観点から、これまで以上に人事労務関連データをタイムリーに把握し、効果的に活用することが求められている。こうした中で、社員の就労状況の的確な可視化や効率的なデータ分析、追加費用なくスムーズな移行が実現できるチムスピ エンタープライズを採用した」とコメントした。
全日本空輸の伊藤祥雄氏(デジタル変革室 オペレーション・コーポレートシステムソリューション部 部長)はIT部門の観点から、「利用中のシステムのサービス終了に伴い、新たなSaaS製品を導入するとともに、グループ共通財産として人事・勤務に関するデータ活用を目指していた。今回のプロジェクトの具体的なミッションである『法制度対応が追加費用なく対応できる』『人事データの一元化により人的資本開示などが効率的に実現できる』『セキュリティを確保しつつ外部インターネットおよびマルチデバイスからのアクセスが可能となる』を実現する提案を受けた。また、ANAグループ企業25社への導入をサービス終了期限前に確実に完了するための方法論と実現性も明確に示された。現在、導入展開の真っ最中であり、クラウドサービスへの移行に対するノウハウやプロジェクト管理の高さを評価している」と述べた。
ANAグループの旧システムが抱えていたコストの課題は、クラウドサービスを導入することで解決されたのだろうか。「弊社のサービスは、オンプレミスの個社ごとの開発が伴うカスタマイズをするシステムではなく、勤務ルール作成や申請/承認業務に必要な要素を基本機能としてクラウドに保持し、難易度が高い勤務体系もパラメータの設定で容易に作成することができる。そのため、都度、開発をせずに費用負担を最小限にして、グループ各社の独自の働き方の変更、時流への対応、法対応がスムーズにできる」との回答がチームスピリットから寄せられた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.