スロットマシンなどを製造するInternational Game Technologyは、サイバー攻撃により一部のシステムをオフラインにしたと発表した。最近、ギャンブル業界がランサムウェア被害などに遭う機会が増えている。業界の穴をFBIが指摘した。
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ギャンブル業界において各種の製造を担う世界的なベンダーであるInternational Game Technologyは、2024年11月24日(現地時間、以下同)に提出した有価証券報告書で「サイバー攻撃により、社内のITシステムやアプリケーションが停止した」と発表した(注1)。
英国に本社を置くInternational Game Technologyは、スロットマシンの製造や宝くじおよびスポーツベッティングのためのオペレーション技術の開発を事業として展開している。同社は、2024年11月17日に攻撃者による侵入を発見し、予防措置として一部のシステムをオフラインに切り替えた。
International Game Technologyは、攻撃の詳細や対応内容、復旧作業によって影響が及ぶ範囲について明らかにしなかった。「Cybersecurity Dive」は同社の一般的なメディア向け電話窓口、グローバルコミュニケーションおよび投資家向け窓口に問い合わせたが、連絡を取ることはできなかった。
International Game Technologyによると、同社は顧客と連絡を取り合い、事業の継続性を維持し、混乱を緩和するために、特定の業務における代替案を用意しているという。
有価証券報告書のなかでInternational Game Technologyは、次のように述べた。
「現在進行中の調査と対応にはシステムをオンラインに戻す努力も含まれている。このインシデントが重大であるかどうかの判断は、まだなされていない」
International Game Technologyへのサイバー攻撃は、カジノや関連するベンダーを標的にした悪質な活動が増加している状況において発生した。
2023年に連邦捜査局(FBI)は業界向けの非公開通知を発行し(注2)、ランサムウェア脅威グループがベンダーが管理するリモートアクセスシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用してカジノのサーバに侵入していると警告した。この警告は、カジノ業界の大手企業であるMGM ResortsおよびCaesars Entertainmentに対する2023年9月のランサムウェア攻撃を受けて発されたものである(注3)(注4)。
International Game Technologyは、第3四半期に5億8700万ドルの売上高と4300万ドルの純利益を計上している(注5)。同社はロンドンに本社を置き、ニューヨーク証券取引所で取引されている。世界100カ国に約1万500人の従業員がおり、ラスベガスを含む米国内に複数の制作オフィスおよび運営オフィスを構えている。
ネバダ州ゲーミング管理委員会は、カジノ運営に影響があるかどうかに関するコメントを避けた。同委員会のカーク・ヘンドリック氏(委員長)は、電子メールで「法執行機関および規制機関として、当委員会は、特定の人物や団体に対する捜査の有無についてコメントすることはない」と述べた。
(注1)INTERNATIONAL GAME TECHNOLOGY PLC(SEC)
(注2)Ransomware targeting casinos is on the rise, FBI warns(Cybersecurity Dive)
(注3)MGM Resorts’ Las Vegas area operations to take $100M hit from cyberattack(Cybersecurity Dive)
(注4)Caesars Entertainment faces class action lawsuits following rewards database hack(Cybersecurity Dive)
(注5)INTERNATIONAL GAME TECHNOLOGY PLC(SEC)
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