美容ブランド大手のエスティ ローダーは「ChatGPT Enterprise」をどう使い、成果創出につなげたかCIO Dive

AIは美容業界でも導入が進んでいる。AIの力を借りてマーケティングを効率化することでスピーディーに製品を市場に投入するなど、美容ブランドでのAI活用事例を紹介する。

» 2024年12月23日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 美容ブランド大手のEstee Lauder Companies(以下、ELC)はOpenAIとのパートナーシップの一環として、カスタマイズされたGPTへの従業員のアクセスを拡大していると発表した(注1)。

AIで研究開発やマーケティングの工数が9割減

 従業員はユーザー調査データセットの分析やスキンケア製品の効果に関するインサイトの抽出、ベンダーの詳細な情報の統合などを可能にするアプリケーションなどの240以上のカスタムGPTにアクセスできる。

 ELCは影響力の高いユースケースを発見し、利用を促進することを目指す部門横断的なGPTラボを設立した。このラボでは、ビジネスユーザーや専門分野のエキスパート、技術リーダーと協力し、拡張性を見極めるための迅速なプロトタイピングとテストに重点を置いている。

 Clinique LaboratoriesやMake-up Art Cosmetics、Too Faced Cosmeticsを傘下とする同社はAIを美容業界の最前線に押し上げようとしており、技術への注力を強化しつつより多くの人に利用してもらえるよう取り組んでいる(注2)。

 「ChatGPT Enterprise」のアーリーアダプターとして、ELCは追求すべきユースケースを精査してきた(注3)(注4)。現在、チームはデータ処理と分析にChatGPT Enterpriseを使用しており、カスタマイズされたGPTによりユースケースは拡大しているという。

 ELCのキングサク・チャクラバーティ氏(企業向けアーキテクチャ・AI・R&D担当ディレクター)は声明の中で、「われわれはGPTが組織にもたらす価値と必要な労力を算出する。そして、価値が高く迅速に構築できるGPTを優先的に開発する」と話す。

 同社によると、ChatGPTは研究開発チームとマーケティングチーム全体の応答時間を90%以上改善したという。その他、製品の市場投入スピードの向上や手作業の削減などの成果を生み出した。

 2024年、生成AIの取り組みによる企業の成功は多種多様だった。AI技術を導入するにはモダナイゼーションが必要だと考える技術リーダーもいれば、プロジェクトの価値を示すことに苦労しているリーダーもいる(注5)(注6)。

 技術リーダーによると、ビジネスリーダー間のコラボレーションは、組織が初期のROIの課題を克服し、対処するための鍵になったという(注7)(注8)。

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