「AI、AIって……」 企業の“AI疲れ”が深刻 見えてきた現実とボトルネックCIO Dive

2024年は企業のAIラッシュが続いたが、そのうち成果を実感できている企業はごく一部のようだ。急速な導入によるAI疲れや燃え尽き症候群も深刻化しており、リーダーのAIを見る視点も厳しくなっている。

» 2025年01月20日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 世界市場における四大会計事務所Ernst & Youngが実施した調査によると、ビジネスリーダーの多くはAI疲れや燃え尽き症候群に直面しており、その状態で2025年に向けてAIの目標達成を目指すことに課題を感じているという(注1)。

企業の“AI疲れ”が深刻

 調査対象となった500人のシニアリーダーの半数以上は迅速な成果を求めるプレッシャーの中で、従業員が圧倒されていると感じており、自らのリーダーシップ能力に自信が持てなくなっている。さらにまた同程度の割合が投資利益率が上昇しているにもかかわらずAI導入に対する社内の熱意が低下していると報告した。

 加えて、従業員も絶え間なく入って来るAIに関連する情報や進展に圧倒され、疲弊しているとリーダーたちは感じているようだ。

 ところが、こうした困難に直面していても企業はAIの夢を諦めていない。

 同調査によると、調査対象となったシニアリーダーの34%が2025年はAIに少なくとも1000万ドルの投資を計画していると回答しており、これは2024年の30%から増加している(注2)しかし、前向きな成果が見られる一方で、CIO(最高情報責任者)はしばしば不利な状況に置かれていると感じている。

 リーダーたちはインフラとデータプロセスが組織の足かせになっていると指摘する。同調査によると3分の2近くの企業の責任者が従業員に技術を導入するよう動機付けすることが難しいと感じている。

 多くのITベンダーが企業のAI導入に当たり発生する課題や不足を満たせるよう急いでいる(注3)。専用ツールからカスタマイズされたトレーニングまで、AIプロバイダーは技術の導入を促進しており、需要に対応するためにキャパシティーを迅速に拡大している。

 しかし、一時は期待に胸を膨らませて急速に導入が進んだ生成AIも、テックリーダーが懐疑的な視点で捉えているようになった現在ではより慎重に取り組むべき対象になっている(注4)。

 同調査によるとシニアビジネスリーダーの約5人中3人が過去1年間でAIの責任ある実践への関心が高まっていると回答しており、2024年上半期の53%から上昇した。また、約半数が2025年はこの技術のリスクに対してより強く注目する意向を示しており、ほぼ同じ割合がAIの責任ある利用に関する従業員向けトレーニングを増やす計画だという。

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