Tenableはサイバーセキュリティに関する最新情報について報告した。ISACAの調査によると、セキュリティ、ITの専門家たちが“いま抱えている仕事のストレス”や“転職理由”が明らかになった。
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Tenableは2025年3月7日(現地時間)、サイバーセキュリティに関する最新情報について報告した。クラウドセキュリティアライアンス(CSA)が発表したデータセキュリティの課題と対策、情報通信技術専門家の国際団体であるISACAによるIT人材の定着に関する提言、米連邦議会が進める脆弱(ぜいじゃく)性開示プログラムの義務化などが取り上げられている。
調査から、大半の企業がIT人材の確保に苦戦している他、IT人材がいま抱える“悩みの種”や“転職のきっかけ”が明らかになった。
CSAが発表したレポート「Understanding Data Security Risk」によると、データセキュリティにおける主な課題としては以下が挙がった。
これに対して推奨される対策は以下の通りだ。
ISACAの最新レポート「Tech Workplace and Culture 2025」によれば、過去2年間でIT専門職の約3分の1が転職し、企業の75%が人材確保に課題を抱えていることが判明した。
「仕事に関連したストレスがある」と報告した回答者の71%のうち、主な要因としては以下が挙がった。
転職の主な理由としては報酬の向上やキャリアアップ、より興味深い業務への従事などが挙がった。企業側はこの状況に対しワークライフバランスの確保、ハイブリッド勤務やテレワークの選択肢の提供、より魅力的な業務内容の確立に努める必要がある。
この他、Tenableは業界ごとのセキュリティ成熟度の現在地や、新たなサイバー攻撃・規制、脆弱性の動向をまとめている。
欧州連合(EU)のサイバーセキュリティ機関であるENISAはEUの重要インフラのサイバー成熟度に関する最新レポート「ENISA NIS360 2024」を発表した。電力や通信、銀行業界は比較的成熟しているが、医療や行政機関は遅れていると報告されている。サイバーセキュリティの強化には業界間および国家間での協力体制の構築、ネットワーク・情報システム指令(NIS2)への準拠に向けたガイダンス提供、宇宙・行政・海運業界におけるセキュリティ対策の強化が推奨されている。
一方、米国連邦捜査局(FBI)は、企業幹部を標的とした新たなランサムウェア詐欺について警告を発表している。ランサムウェアグループ「BianLian」を名乗る詐欺師が偽の脅迫状を郵送してビットコインで最大50万ドルの身代金を要求する脅威を報告している。これらの脅迫状にはQRコードが記載され、支払いを促す手口が使われているが、これには応じず社内で情報を共有するとともにセキュリティ対策を徹底するよう呼びかけている。
米国下院では連邦政府の契約企業に対し脆弱性開示プログラム(VDP)の導入を義務付ける「Federal Contractor Cybersecurity Vulnerability Reduction Act of 2025」が可決されている。この法案は、米国国立標準技術研究所(NIST)のガイドラインに準拠し、契約企業が情報システムの脆弱性を迅速に報告・対処することを目的としている。Tenableを含む複数の企業がこの法案を支持し、連邦政府のサイバー耐性を強化するための重要な一歩であると評価している。
最後にBroadcomのVMware製品に影響を与えるゼロデイ脆弱性が悪用されている点が触れられている。影響を受けるのは「VMware ESXi」「VMware Workstation」「VMware Fusion」の3製品とされ、CVE-2025-22224、CVE-2025-22225、CVE-2025-22226の脆弱性が指摘されている。これらの脆弱性に対するパッチを適用し、システムのセキュリティを確保することが推奨されている。
サイバーセキュリティの脅威が進化し続ける中、企業や組織はデータセキュリティの強化、IT人材の確保、重要インフラの防御、脆弱性管理の徹底など、多方面での対策を講じることが求められている。
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