多くの企業がAIの導入を加速させる一方で、リソース不足などが原因でプロジェクトの遅延が発生しているようだ。しかし、こうした障害がありながらもCIOはAIプロジェクトの目標に向けた積極的な姿勢を崩さない。
クラウドサービスを提供するCivoが2025年1月第4週に発表したレポートによると、10社中9社近くがAI施策の実行と拡大に苦戦しており、プロジェクトの遅延が頻発している(注1)。
各インダストリーの専門家1400人を対象とした同調査によると、AIプロジェクトの最大の障害は「予算の制約」や「スキルの不足」「コンピューティングの可用性」だ。加えて規制上の懸念やインフラの制約にも直面していることが分かった。
さらに5社中4社以上がプロジェクト遅延の主要因として「GPU不足」を挙げており、3分の1以上の企業が遅延期間は3カ月から半年におよぶ。
各企業リーダーはこうしたさまざまな障害に直面し、幻滅感が高まる中でも、前向きにAIプロジェクトの目標達成に挑む姿勢を崩していない(注2、3)。
CIO(最高情報責任者)は、プロジェクトの失敗や遅延の全てが最悪のシナリオを意味するわけではないことを理解している(注4)。障害にぶつかることは、企業にとってより優れたコスト効率の高い解決策や進むべき道を見つけるチャンスにもなる(注5、6)。ただし、障害に直面した企業は軌道修正すべきか、それとも撤退すべきかを決断しなければならない。
実はほとんどの企業は課題があるにもかかわらず、AIへの取り組みを強化する選択をしていることが明らかになっている。2024年、CIOは「導入スピード」や「コンプライアンス要件」「ベンダーの契約」などをより慎重に見極めながら戦略を磨き上げた(注7)。Gartnerは、主に企業のAI実行環境の強化を背景にソフトウェアやデータセンター、デバイスへの支出が前年比2桁増を見込む(注8)。
こうした動向に加えて2025年にはAIエージェントの導入も進めようとしている(注9)。AIエージェントの導入に当たり、セキュリティやガバナンスを強化する必要があるが、CIOは尻込みしていない。Boston Consulting Groupの調査によると、3分の2の企業がすでにAIエージェントの利用を検討している。
(注1)How can we make AI accessible to all?(Civo)
(注2)ROI remains elusive for enterprise AI plans despite progress(CIO Dive)
(注3)2 years after ChatGPT’s release, CIOs are more skeptical of generative AI(CIO Dive)
(注4)Why generative AI experiments fail(CIO Dive)
(注5)When is generative AI the wrong tool?(CIO Dive)
(注6)How one CIO navigated the aftermath of a scrapped ERP overhaul(CIO Dive)
(注7)How CIOs are honing generative AI strategies(CIO Dive)
(注8)CIOs brace for price hikes this year as IT budgets grow(CIO Dive)
(注9)AI agents spark interest, concern for businesses in 2025(CIO Dive)
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