S&P Global Market Intelligenceによると、AIに関する取り組みの大部分を中止する企業の割合が、2024年の17%から2025年には42%に増加しているという。
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金融市場に関する分析サービスを提供するS&P Global Market Intelligenceの分析によると、AIのプロジェクトの失敗を報告する企業が増加しているという。この調査結果は、北米および欧州の1000人以上の回答者を対象としたアンケートに基づいている。
AIに関する取り組みの大部分を中止する企業の割合が、2024年の17%から2025年には42%に増加した。多くの企業において、AIのPoC(概念実証)のうち46%が本番稼働に至る前に中止されている。
企業が挙げた主な障害は、コストやデータに関するプライバシー、セキュリティリスクだった。現時点でAIの導入が最も進んでいるのはIT業務だ。次いでカスタマーエクスペリエンスのワークフローやマーケティング業務が続いている。
企業は、AIの取り組みに関連する数多くの継続的な障害や課題に直面している。
CIO(最高情報責任者)たちは2023年の時点で、生成AIに関する自社の取り組みの進捗が期待に達していないと感じており(注1)、2024年も実験の多くが失敗に終わった(注2)。2025年にはさらに多くのプロジェクトが中止される可能性が高いと見られている。
ソフトウェア企業であるInformaticaが2025年2月に発表した報告書によると、ほぼ全ての企業が生成AIへの投資を拡大しているが、3分の2の企業はパイロットプロジェクトを本番環境に移行できていないことを認めている(注3)。
成功している企業はユースケースの優先順位付けとカスタマイズに注力している(注4)。AIに関するありとあらゆる機会を求める意思決定者ほど多くのプロジェクトを失敗させるのだ。時間の浪費を避けるためには、AIが最適な手段である場合とそうでない場合を見極めることが重要だ(注5)。
しかしアナリストによると、経営者にとってプロジェクトの失敗は必ずしもネガティブな要素ではないという。
Boston Consulting Groupのアマンダ・ルーサー氏(マネージングディレクター兼パートナー)は、2025年3月12日(現地時間)に開催された「CIO Dive」のバーチャルイベントで次のように語った(注6)。
「これらの取り組みでは、失敗をたたえることも重要だ。従業員が自分の関心のあるユースケースを提案し、試験的に取り組むことを許可することで、そのアイデアが本番導入に至るかどうかにかかわらず、実験的な文化を育める」
このような取り組みは反復的な実験を促し、将来の優れた成果につながる可能性を有している。
コンサルティングサービスを提供するKPMG U.S.のアドバイザリー部門に所属するトゥィケ・トゥィケ・チャウ・ソー氏(マネージングディレクター)は、パネルディスカッションで次のように語っている。
「多くの人は失敗という言葉に恐怖を覚える。しかし、AIは新しい技術であるため、数多くの試行錯誤があって当然だ。それらを受け入れることが大切なのである」
(注1)Why generative AI experiments fail(CIO Dive)
(注2)2 years after ChatGPT’s release, CIOs are more skeptical of generative AI(CIO Dive)
(注3)Stuck in the pilot phase: Enterprises grapple with generative AI ROI(CIO Dive)
(注4)Stuck in the pilot phase: Enterprises grapple with generative AI ROI(CIO Dive)
(注5)When is generative AI the wrong tool?(CIO Dive)
(注6)Generative AI Where Are We Now?(CIO Dive)
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