ユナイテッド航空はAI活用に自信 推進するべきプロジェクトを見極めるにはCIO Dive

United Airlinesのスコット・カービー氏(CEO)はAI活用に自信があるとして、さまざまな活用事例を紹介している。一方で成果を出せないAIプロジェクトもあり、見極めが重要になる。

» 2025年08月25日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 United Airlinesのスコット・カービー氏(CEO)は、2025年5月26日(現地時間)の週に開かれた投資家会議で「私たちは他のどの企業よりもAIを活用している」と述べた(注1)。同氏によると、同社の多くの取り組みは実験段階にあるという。

United AirlinesにおけるAI活用

 United Airlinesは、AIを活用して顧客にフライトの詳細を共有したり、労働契約を更新したりしている。後者の用途について、カービー氏は「AIのほうが人間よりも正確で作業が早い」と述べた。手荷物の追跡および回収もAIを活用して取り組んでいる分野である。

 全てのユースケースが成功しているわけではない。カービー氏は「予知保全の分野では、AIは私たちが想定していたほど上手に機能しなかった」と語る。課題はあるものの、同社はこの分野での実験を継続しており、幾つかの限定的な事例では成果があったという。

 部門や役割を問わず、企業内にはAIを活用できる機会が数多く存在している。なかには他の用途よりも大きな影響をもたらす活用例もある。

 大半の企業は、どのアイデアを大規模に展開すべきかを見極めるのに苦労している(注2)。データプラットフォームを提供するSnowflakeの報告によると、意思決定者のおよそ10人中7人は、資金的に対応しきれないほど多くのAI活用の機会を抱えているという。初期段階からAIを導入している企業にとっても、コストやビジネスへの影響といった指標に基づいて、どのプロジェクトを優先すべきかを判断するのは困難だという。

 アナリストたちによると、行き詰まって終わるAI活用の取り組みを回避できるよう組織を導けるのはCIO(最高情報責任者)であり(注3)、貴重な存在だという。CIOが十分に関与できない場合は重大な結果を招く恐れがある。Snowflakeの調査によると、意思決定者たちは、誤ったユースケースを推進してしまうと自分の職の安定や自社の市場での立ち位置に悪影響が出るのではないかと懸念しているようだ。

 テクノロジー部門のリーダーは、AI導入に関する意思決定を独断ではできない。小売ビジネスを展開するEG AmericaのCDO(最高デジタル責任者)兼インカントリーCIOであるソリン・ヒルゲン氏は「CIO Dive」に対し、「どのユースケースに取り組むかを決めるのはビジネスリーダーたちが協力すべき作業であり、スケジュールやリソースの利用可能性を考慮に入れて判断している」と語った。

 Goldman Sachsも同様のアプローチを取っている。

 Goldman Sachsのジョン・ウォルドロン氏(最高執行責任者兼プレジデント)は、2025年5月26日の週に開催された投資家向けの会議で「私たちはAIに関連する非常に多くのユースケースから出発し、資金を投じる価値のあるプロジェクトを絞り込んだ」と述べた(注4)。

 企業は全ての可能性を追いかけられない。分析サービスを提供するS&P Global Market Intelligenceの分析によると、AIに関連する取り組みの大半を放棄した企業の割合は(注5)、2024年の17%から2025年は42%に増加したという。

 一方、アナリストたちはCIOに対して、失敗した取り組みの全てを否定的なシグナルと受け取るべきではないと警告した(注6)。専門家によると、実験を重視する文化を促進し、試行錯誤を奨励することで、より良い成果や高い関与を生み出せるのだという。

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