IDCの報告書によると、米国におけるPC出荷台数は第1四半期に急増した後、第2四半期に入って伸び悩んでいる。世界でPCの出荷台数が伸びる一方で、米国で伸び悩む理由とは。
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調査会社のIDCが2025年7月8日(現地時間、以下同)に「Worldwide Quarterly Personal Computing Device Tracker(世界市場における個人向けコンピュータの動向に関する調査レポート)」を基に速報データを発表した(注1)。世界ではPCの出荷台数が伸びる一方で、米国では第2四半期に入り出荷台数が伸び悩んでいるという。
米国のPC市場は2024年と比較して横ばいだったが、世界全体ではPCメーカーの出荷台数が前年比で6.5%増加した。米国では第1四半期にPC出荷台数が約5%増加していたが、第2四半期は対照的な結果となった。
世界では出荷台数が伸びているのに、米国で伸び悩んでいる背景には迫り来る関税に備えて、メーカーが在庫を積み増していたことに起因するようだが(注2)、在庫を積み増すメーカーの思惑とは何か。
IDCで世界におけるモバイルデバイスを追跡する部門に所属するJP・ブシャール氏(リサーチ・バイスプレジデント)は「CIO Dive」に対して「第1四半期には、関税を回避するためにベンダー各社が可能な限り大量の製品を米国に持ち込もうとする本当の競争が起きていた」と語った。同氏によると、第2四半期のデータには、こうした在庫積み増しの影響に加えて、消費者の需要の低下やサプライチェーンの制約も反映されているという。
直近数カ月、CIO(最高情報責任者)はデバイスの調達を含むIT領域における主要な優先事項にどのように対応すべきかに焦点を当てながら、マクロ経済の変化を注意深く見守ってきた。
「2024年の第4四半期と2025年の第1四半期における米国のPC市場は非常に活発だった。どちらも理由は似ている。第4四半期の場合、関税やトランプ政権が貿易協定にどのように対応するかを見越しての動きだった」(ブシャール氏)
ベンダー各社は、関税の発効期限前に既存の機器を急いで米国に搬入した。ブシャール氏は「状況が悪化すると予想していたのだ」と述べている。
早い時期にPC販売を押し上げたもう一つの要因は、「Windows 10」搭載端末のサポートが2025年10月に終了することだ(注3)。企業がサポート終了リスクに備える中で、Windows 10のサポート終了はPC購買を継続的に後押しする要因となっている(注4)。
ブシャール氏によると、マクロ経済に関する不安の中でハードウェアの調達に苦慮しているCIOは積極的に行動し、既存のパートナーと協力して変化を乗り切るべきだという。
「私の主なアドバイスは、サプライヤーや販売チャネルと連携して解決策を一緒に見付けることだ。価格への影響や関税が最終的にエンドユーザーにどう反映されるかどうかは不透明だ。それはベンダーごとに戦略が異なるためだ」(ブシャール氏)
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