AIの活用が進む中で多くの企業がIT人材の採用を慎重に見直している。こうした中で「AI」以外に企業が確保しようとしている人材とは。
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IT業界における非営利団体であるCompTIAが2025年7月3日(現地時間、以下同)に発表した米国労働統計局のデータによると、2025年6月のIT系労働市場の指標はほぼ全て好調であり(注1)、同年5月の低調な流れから回復したようだ(注2)。
IT業界の失業率は2.8%まで低下し、2025年における最低水準となった。同年6月は21万2000件近くの有効求人広告が掲載され、経験年数を問わない求人もあった。ただし、テック企業は同年6月に7256人の雇用を削減しており、特に技術系製造部門での人員削減が大きな割合を占めた。
AIの活用が進み、経済の先行き不安が募る中で多くの企業がIT人材の採用方針を見直している。AI以外に企業が積極的に採用しようとしているIT人材とは。
CompTIAのティム・ハーバート氏(チーフリサーチオフィサー)は声明で次のように述べた。
「直近の予想に反して、2025年6月のIT業界の雇用は好調だった。本データは、さまざまな分野で企業がIT人材の採用に引き続き積極的であることを裏付けている」
2025年に入り、CIO(最高情報責任者)や企業は、市場の混乱やAIの活用拡大といった複数要因に対応するためにIT人材の採用方針を見直している(注3)(注4)。
2025年になってIT業界の失業率は徐々に上昇し、2025年4月には3.5%と今年のピークに達した。Walmartのような大企業や(注5)、Microsoftのような大手IT企業が実施した再編計画により(注6)、多くのIT人材が影響を受けたことが注目を集めている。
「HR Dive」によると、IT人材の採用に対する慎重な姿勢は、業界や職種を問わず広がる懸念を反映しているという。多くの経営者が経済の先行きがより明確になるのを待っている状況だ(注7)。
それでも企業は重要な人材の不足を補い、優秀な人材を確保しようとしている。
CompTIAの調査によると、AI関連のスキルに対する需要は依然として拡大しており(注8)、AI関連の求人は2025年6月時点で前年比153%増だった。ただし、ハーバート氏は「IT人材の採用はAI分野に限られているわけではないことを強調したい」と述べる。
CompTIAによると、米国企業が主に求めているのはソフトウェア開発者やシステムエンジニア、アーキテクト、テクニカルサポートの専門家、サイバーセキュリティのプロフェッショナル、ネットワークエンジニアだった。
またCompTIAの調査により、2025年5〜6月にIT人材の増加率が最も高かった都市は、プロビデンスおよびサンアントニオ、ボルチモア、インディアナポリスだったことが判明している。一方、ワシントンやニューヨーク、サンフランシスコといった従来のIT業界の中心地では求人件数が最も多いという特徴があった。
(注1)Tech hiring activity outpaces expectations, CompTIA Tech Jobs Report finds(CompTIA)
(注2)US sheds 131K tech jobs in May as economic uncertainty persists(CIO Dive)
(注3)How Trump’s tariff regime is cutting into IT budgets(CIO Dive)
(注4)Big banks ramp up AI hiring as gains materialize(CIO Dive)
(注5)Walmart cuts 1,500 jobs in US retail, global tech teams(CIO Dive)
(注6)Microsoft to lay off about 9,000 employees in latest round(The Seattle Times)
(注7)Job numbers show employers and workers are ‘waiting for clearer signals’(HR Dive)
(注8)AI skills shortage surpasses big data, cybersecurity(CIO Dive)
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