ヤマハ発動機はグローバル戦略の一環として、分断されていたマスターデータを統合する基盤を導入した。経営基盤の刷新と意思決定の迅速化を図り、グローバル事業運営における競争力の強化を目指す。
ヤマハ発動機は、オートバイをはじめとする輸送用機器を世界各地で展開している。同社はモビリティ分野での挑戦を通じ、持続可能な社会づくりに寄与することを掲げている。その中核施策の一つとして、IT・デジタル・データを経営に生かすことで競争力を強化し、ブランド価値を高め、長期的に顧客との関係を築くDX戦略を進めている。
DXの柱とされる「経営基盤改革」において、グローバルERPの刷新や経営ダッシュボードの導入を通じ、業務効率向上と意思決定の迅速化を図ってきた。しかし、従来の仕組みは拠点や事業単位ごとに異なるシステムを利用する実態があり、マスター情報の管理が分断されるという課題が生じていた。システムの結合度が高いため、あるシステムを変更する際に他のシステムへ影響が及ぶリスクも抱えていた。このような構造は事業展開のスピードを阻害する要因となっていた。
ヤマハ発動機はこれらの課題解消を目的に、管理項目の標準化とシステムの疎結合化を視野に入れたグローバルERP導入を進行させてきた。しかし、その過程でマスターデータの一元化、ゴールデンレコードの維持、各拠点のERPやその他の業務システムへ正確かつ効率的に配信する仕組みが必要になっていることが明らかになった。
ヤマハ発動機は、マスター情報の精度を高めつつ効率的な配信を早期に実現し、グローバル規模での統一管理と拠点ごとの柔軟な対応を両立できる基盤が不可欠と判断。その際に業界大手ERPとの円滑な連携に加え、同社が独自に構築したシステムとも柔軟に接続可能になっていることを重視した。その要件を満たす解決策として選ばれたのが、インフォマティカのSaaS型マルチドメインMDMソリューションだ。
この製品にはインフォマティカのAIエンジン「CLAIRE」が搭載されており、企業内外のデータ資産を合理化、一元化、自動化することで、文脈に沿った360度のデータビューを提供する。短期間での導入が可能であり、マスターデータ管理の立ち上げを迅速に実施できる他、クレンジングや品質チェックを通じてデータ精度を確保する機能を備えている。統合ETL機能により、データ配信の効率化も実現する。
ヤマハ発動機はこの取り組みを通じ、グローバル事業運営における基盤整備を進め、顧客との関係強化および事業の持続的発展を目指すとしている。
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