Flexeraの調査で、AI導入企業の約半数で過剰支出や無駄が発生している実態が判明した。シャドーAIやコスト不透明化を防ぐため、業務の中核に統制を組み込む先手の管理体制が不可欠だ。
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IT資産管理、コスト最適化ソリューションを提供しているFlexeraは2026年4月9日(現地時間)、企業のAI活用の実態を調査した「2026 AI Pulse Report」を発表した。
ほぼ全ての企業でAI導入が進み投資が急増する一方、約半数の企業で過剰支出や予算の無駄が発生していることが判明。導入の加速に統制や利用状況の把握が追い付かず、コストの不透明化やセキュリティリスクといった「可視化の壁」が顕在化していると警告した。
同レポートは、「State of the Cloud Report」および「IT Priorities Report」の調査結果を統合したもので、AIの普及状況や支出動向、リスク、価値創出の要因を包括的に分析している。
企業におけるAIの位置付けは既に実験段階を超え、IT戦略を再構築する存在として急速に拡大している。
ほぼ全ての企業がAIまたは機械学習を導入、もしくは統合を進めており、生成AIの普及が開発やセキュリティ、分析、運用など幅広い領域で活用を促進している。しかし、導入の速さと価値創出は必ずしも一致していない。多くの企業がAIの利用状況や効果測定、統制の基本的な枠組み構築に苦慮している。
特に「可視性の欠如」が深刻な問題として挙げられている。調査では85%の企業がIT可視性の不足を重大なリスクと認識しており、約半数が「従業員によるAIツールの利用状況を十分に把握できていない」と回答した。こうした状況は、非公式なAI利用の拡大、AI機能の無通知での有効化、データの不透明な流通などを引き起こし、セキュリティやコンプライアンスの観点からも問題となる。
またAI関連支出の増加と管理の難しさも浮き彫りとなった。調査では80%の企業がAI投資を増やしている他方で、3分の1以上が過剰支出を認識し、14%は無駄な支出が発生したと回答している。AI特有の負荷変動やGPU需要の変動、料金体系が不透明なSaaS、シャドーAIなどが、コスト管理を困難にしている要因とされる。
従来のクラウド用のコスト管理手法では、こうした変動性に対応しきれない点も指摘されている。レポートは、単なるコスト削減ではなく、統合的な可視化に基づく先手の管理体制が必要だと強調している。
AIに関する課題はコストにとどまらない。クラウドベースのAI利用に伴うセキュリティやコンプライアンスのリスクは、コストや人材不足を上回る最大の課題として挙げられている。これに対応するため、成果を上げている企業はAI統制を単なるチェック項目ではなく、業務の中核に組み込む仕組みとして再設計している。
AIおよびAI機能を備えたSaaSの統合的な可視化、業務フローに組み込まれたポリシー、データ統制の強化、法規制や倫理への対応、ITや法務、セキュリティ、調達、財務など複数部門の連携などが重要な要素として挙げられている。またプロンプトインジェクションやモデル汚染といった新たな脅威への対策も不可欠とした。
レポートは、AIによる価値創出は自動的に生まれるものではなく、設計と管理によって実現されるものだと結論付けている。成果を上げている企業は、まず利用状況を把握し、初期段階から統制を組み込み、その後も継続的に成果を測定している。
AIが企業活動のあらゆる領域に浸透する中、可視化、統制、支出管理の3点が、リスク低減と価値創出の基盤になると同レポートは示している。
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