Veeamは、AI時代の新たなデータ管理システムを発表した。AIエージェントの普及に伴う情報ろう洩や暴走リスクに対し、データ保護やAI監視、法令対応を一本化。異常な操作の遮断や、壊された箇所のみを直す「外科的復旧」により、安全なAI活用を支える土台を提供する。
Veeam Software(以下、Veeam)は2026年5月12日(現地時間)、米国ニューヨークで開催した年次イベント「VeeamON 2026」で、AI時代に向けたデータ管理システム「DataAI Command Platform」を発表した。
AIエージェントの活用が広がる一方で、情報の流出や不正アクセス、操作ミスといったリスクへの不安も高まっている。こうした課題に対し、データの保護からアクセスの管理、AIの監視、法令への対応、トラブル時の復旧まで、これまでバラバラだった対策を1つにまとめて管理できるのが特徴だ。
DataAI Command Platformは、買収したAI安全管理企業Securiti AIの技術と、Veeamが長年培ってきたデータ保護技術を融合して開発された。AI導入が急速に進む中で、多くの企業が課題としていた「AIを安全に使いこなすための確かな土台」を構築するのが狙いだ。
アナンド・エスワランCEOは、企業においてAIエージェントが大量のデータに直接アクセスする形が一般的になりつつあると指摘した。これまでの「境界を守る」という考え方だけでは安全の維持が難しく、守るべき中心がネットワークの境界から「データそのもの」へと移り変わったとの認識を示した。
Veeamによると、自律型AIエージェントの数は既に従業員数を大きく上回っており、その多くに過剰な権限が与えられているという。AIによる処理の高速化で攻撃を検知するまでの猶予も短くなっており、AI活用の現場全体をカバーできる新たな管理体制への需要が高まっている。
新基盤中核には「DataAI Command Graph」を配置する。300種類以上の接続機能を備え、クラウドから社内サーバまであらゆる環境から情報を集約する。単なるシステム構成の把握にとどまらず、機密ファイルの中身や「誰がアクセスしたか」、権限の変更履歴まで詳細に追跡できる。現在使用中のデータとバックアップされたデータを、まとめて一括管理できる。
「DataAI Security」機能では、データの保護状況やAIの利用実態、アクセスの権限情報をまとめて管理する。不適切な権限設定や危険な操作を見つけ、管理者に警告する仕組みだ。また「DataAI Governance」では、AI側ではなく「データ側」で制限をかける手法を採用した。これにより、企業が許可していないAIや未登録のエージェントが機密データに触れようとしても、アクセスを遮断できるという。
法令対応を担う「DataAI Compliance」は、EU AI法やGDPR(EU一般データ保護規則)、NIST AI RMF(NIST AI リスクマネジメントフレームワーク)など、世界100以上の規制や制度に対応する。監査に必要な記録を自動で作成する機能も備えており、規制当局や取締役会向けの報告資料を作成する手間を大幅に減らす狙いだ。
「DataAI Privacy」機能では、利用者の属性や地域に合わせて、個人情報保護のルールを自動で適用する。また、形式の異なる多様なデータを横断して管理する「People Data Graph」を活用し、複数のクラウドが混在する複雑な環境でも、個人情報が「どこにあるか」を正確に特定できる体制を整えた。
復旧分野では、新機能「DataAI Precision Resilience」を提供する。システム全体を過去の時点に戻す従来の方法ではなく、問題が起きた箇所だけをピンポイントで直す外科的復旧をする。DataAI Command Graphが持つ詳細なデータを活用し、改ざんされたファイル単位で復旧対象を特定する仕組みだ。
同社は同日、「Microsoft 365」向けの新製品「Veeam Intelligence ResOps for M365」も発表した。Microsoft 365環境にAI監視機能を組み込み、業務アプリでのAI利用状況を可視化する。また、既存の「Veeam Data Platform」利用企業向けには、追加機能「DataAI Resilience Module」を公開。現在の環境を変えることなく、新機能を利用できる構成とした。
この他、次期バージョン「Veeam Data Platform 13.1」のプレビュー版や、企業のAI運用レベルを測る指標「Veeam Data and AI Trust Maturity Model」も公表した。この指標は300人以上のCIOやCISOへの調査を基に構築。4分野、49分類による5段階評価で、自社のAI活用に向けた準備状況を客観的に把握できる。
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