AIに前向きな職場と、そうでない職場の分かれ目は、ツールの性能ではない可能性がある。1300人超を対象にしたある調査では、共感的な文化を持つ職場とそうでない職場で、全てのAI指標に差が出た。
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福利厚生と人事向けテクノロジーを手掛けるBusinessolverは2026年8月11日(現地時間、以下同)、AIの業務利用と職場の「共感」の関係を調べた調査レポート「2026 State of Workplace Empathy AI Special Report」を公開した(注1)。同レポートによると、自社のリーダーを「共感的だ」と捉えている従業員は、AIによって自分の力が高まると感じ、AIを機会と成長を生む存在として受け止める割合がはるかに高い。一方、自社の文化を「有害だ」(編注1)と答えた従業員は、AIを混乱の原因や余分な負担と捉えていた。
Businessolverは共感について「他者の感情や視点を理解する、あるいは自ら経験する能力」と定義している(注2)。
(編注1)「有害な職場環境」(toxic workplace culture)は、具体的には「人間関係がギスギスしている」「心理的安全性が著しく低い」「不信感が蔓延し、従業員が使いつぶされる不安を抱いている」状況を指す。
同調査では、測定した全てのAI指標で、「上司の共感」の有無によって差が出た。ただし、その差の開き方は指標ごとに一様ではないようだ。
自社の文化が「共感的だ」と答えた従業員のうち、「適切なAI研修を受けられている」と答えたのは87%に上った。従業員全体では51%、自社の文化を「有害だ」と答えた従業員で同様の回答を選んだ割合は33%にとどまる。今回の調査で最も差が大きく開いたのは、研修の項目に対するこの回答だった(編注2)。
他の指標も同じ方向を示した。「AIによって組織での将来をより楽観的に見られるようになった」と答えたのは、共感的な文化の企業で働く従業員では83%、全従業員では61%だった。「AIによって、仕事に対する裁量とコントロールが増した」と答えたのは、共感的な文化の企業で働く従業員では80%、全従業員では54%だった。
一方、自社の文化について「有害だ」と答えた従業員では、「AIを効果的に使う方法を習得できず、取り残されるのではないか」と懸念する割合が51%に上った。AIが自社での自分の将来にどう影響するかを心配する割合も、同じく51%だった。
(編注2)調査は米国在住で従業員100人以上の企業に勤める21歳以上を対象とし、金融サービス、行政、ヘルスケア、ホスピタリティ、製造、テクノロジーの6業種から1300人超(経営層300人超と従業員1000人超)の回答を得た。日本は調査対象に含まれていない。
同レポートはCEO(最高経営責任者)やCHRO(最高人事責任者)を含む経営層にも、AI導入と共感との関係について尋ねている。
調査対象になった300人超の経営層のうち、自社がAIに投資する主な理由を「人員削減によるコスト削減」と答えた割合は3分の1近くに上った。経営層の60%は、「自社がAIに依存するほど、共感を示す必要性は格段に高まる」と認めている。
一方で、CEOの6割超が「日々の業務で共感を示すのは難しい」と答えた。この割合は前年から32ポイント上昇している。
管理職と共感を巡っては、別の調査結果もある。履歴書テンプレートを提供するZetyと、人材アセスメントを手掛けるSIGMA Assessment Systemsは、管理職の性格特性を分析したレポート「Empathy in Management Report」を公開した(注3)。同レポートによると、業種を問わずヘルスケアや医療、人事といったスコアが高い領域でさえ、管理職の感受性や共感、協調性は(非管理職や一般労働者を含む)一般人々の平均を下回っていた。
両社は、「管理職にとってある程度の距離を保つことが有効に働く場合がある」と指摘する。一方、Businessolverは2025年6月に公開した調査結果では、共感的なリーダーシップによって離職に伴う損失を年間で推定1800億ドル抑えられるとしている(注4)(編注3)。自社を「共感的ではない」と捉えている従業員は、今後6カ月以内に転職する可能性が1.5倍高いという。
(編注3)1800億ドルと1.5倍という数値は、Businessolverが2025年6月に公開した第10回調査の結果に基づく。2026年版のレポート本体には同じ記述は見当たらない。
出典:Empathetic leaders drive whether AI is seen as an opportunity or a risk, survey finds(HR Dive)
(注1)2026 State of Workplace Empathy AI Special Report(Businessolver)
(注2)2026 State of Workplace Empathy Report(Businessolver)
(注3)Empathy in Management Report(Zety)
(注4)Empathy Could Save U.S. Companies $180 Billion in Employee Retention Costs(Businessolver)
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