「流行語大賞」の発表は12/1――通信用語の受賞暦を振り返ってみた:今日から使えるITトリビア
2008年、「新語・流行語大賞」の発表が迫る。過去の受賞暦を振り返ると、IT業界に関するものもちらほら。これまでどんな言葉が選ばれてきたのか振り返ってみた。
NTT、ファミコン、第二電電――
「現代用語の基礎知識」が「新語・流行語大賞」を開始したのは、今から24年前の1984年のこと。このころは、ちょうどテレビが華やかだった時代であり、テレビドラマや事件に基づく新語・流行語が中心だった。そうした中、1985年(第2回)に情報通信関連としては初めての新語が選ばれている。その言葉は、「NTT」だった。NTTは、1985年に日本電信電話公社が民営化されたことで発足した企業。電電公社からNTTに変わった呼称は、またたく間に認知され、1985年の新語大賞に選ばれている。
1986年(第3回)に選ばれた新語には「ファミコン」がある。家庭用テレビゲーム機の代名詞となったこの言葉は、言うまでもなく1983年に任天堂が発売した「ファミリーコンピュータ」の略称である。ちなみに当時、ファミコンとともにエポック社の「カセットビジョン」、トミー(現・タカラトミー)の「ぴゅう太」などの家庭用ゲーム機が続々と登場し、次第に普及し始めた時期でもあった。ファミコンは、発売初年度こそソフトウェアが10タイトルに満たなかったが、1985年以降にソフトウェアが急激に増え始め、ちょうどこの年に大ブームとなっていた。発売から20年以上経過し、製品はすでに市場から姿を消しているが、ファミコンという言葉は今でも立派に通用する。
1987年(第4回)には、NTT民営化によって新規参入が可能になった電気通信事業に新たに参入した「第二電電」が新語に選ばれている。第二電電(DDI)はその後、国際電話のKDD、移動体通信のIDOなどと合併し、現在はKDDIとしてNTTの最大のライバル企業となっている。
インターネット、2000年問題、ブロードバンド
1988年以降、しばらくの間は、新語・流行語に入賞する情報通信関連の言葉はなかったが、1995年(第12回)、久しぶりに話題となった言葉が登場する。「インターネット」である。1995年は、Windows 95が登場し、一般の利用者にとってもインターネットへの接続が容易になった時期だ。現在、日本のインターネット人口は8000万人を超え、全世界では11億人以上と言われているが、「インターネット」という言葉が受賞した1995年当時はまだ、全世界で約4000万人程度の利用者しかいなかった――。
さらに、1999年(第16回)では、「西暦2000年問題」が入賞している。旧型のホストコンピュータが年の処理を正しく行えないという西暦2000年問題は、コンピュータによって制御されているさまざまな領域に影響が及ぶとしてセンセーショナルに取り上げられ、一般の人たちの不安を大いに煽ったものだった。しかし現実には、1990年代後半から西暦2000年問題が指摘されるコンピュータのプログラム改変が進められ、日常生活が脅かされることはなかった。
そして、2000年(第17回)。「IT革命」という言葉が大賞を受賞し、「IT」という言葉が一般にも通用するようになった。ITという言葉自体は1980年代後半から使われてきたが、インターネットの普及やコンピュータの高性能化に伴い、10年以上経ってからようやく日の目を見た格好になった。そのITという言葉も、今は政府の主導により「ICT」という言葉に置き換わろうとしている。
2001年(第18回)には「ブロードバンド」が入賞。このころから、インターネット接続の主流は、アナログ電話回線やISDNなど狭帯域(ナローバンド)に代わり、ADSLや光など高速通信が可能な広帯域(ブロードバンド)の回線になっていった。ブロードバンドが一般化した現在、ブロードバンドという言葉を聞く機会も減っている。
最近では2005年(第22回)に「ブログ」、2006年(第23回)に「ミクシィ」が選ばれている。ブログやmixiに代表されるSNSはいずれも、いわゆるWeb 2.0と言われる新しいインターネットサービスとして登場したもので、今でも旬なキーワードだ。
2008年の新語・流行語には、情報通信関連の言葉が選ばれるだろうか? 発表は、今週明けの12月1日である。
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