スマートフォンは企業で増殖するのか――MCPCの中期予測:08年は推定31万台(2/2 ページ)
MCPCが実施したスマートフォン市場の調査結果から、08年の法人利用は約31万台規模になることが分かった。2011年の推定契約台数は約600万台で、このうち法人は約158万台規模になるという。
課題は「目的」や「料金」
法人のスマートフォン導入理由では、一般的な携帯電話よりも高機能であることが最も多く、全体の約48%を占めた。アプリケーションの自由度(43%)やPCよりも安価(32%)、PCより軽量(30%)との回答も目立ち、PCに代わる業務端末として期待する傾向が高かった。
特に従業員5000人以上の法人では、セキュリティ対策や情報共有、生産性向上を目的に挙げており、業種別では製造や金融、小売が生産性向上を重視し、医療や教育ではアプリケーションの自由度を重視する傾向が分かった。
一方、スマートフォン導入を拒む理由では、利用目的がない(52%)やパケット料金(22%)、投資効果が明確ではない(20%)、バッテリ持続時間(17%)などの回答が目立った。具体的な導入効果を得づらい点や、法人ニーズに端末の性能やサービスが十分に適応していない点も明らかになった。回答企業のスマートフォン導入率は7%にとどまり、70%の回答企業がスマートフォンを認知していないなどの現状も判明した。
MCPCによれば、法人のスマートフォン利用シーンは、まず2005年(ウィルコムのW-ZERO3発売)から店舗用POSの代替機器として広まった。このケースでは店舗スペースに余裕がなく、POS端末の設置が難しい場合や、スマートフォンがPCと周辺機器、ネットワークの各機能を1台でカバーできる点がポイントになった。その後、アプリケーションの拡大や端末の性能向上などが手伝って、SFA(営業支援)における顧客管理やプレゼンテーション用途での利用が広がり、1拠点単位から従業員1人単位で利用する端末になったという。
今後の法人利用拡大に必要な要素として、MCPCはデータ通信速度や端末性能の向上、アプリケーションストアの利用拡大、オンライン上のデータ共有といったクラウド型サービスの普及を挙げている。
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