Microsoft Online Servicesに向けたパートナーの思惑:Weekly Memo(2/2 ページ)
マイクロソフトが先週、企業向けオンラインサービスの価格などとともに、パートナービジネス戦略を明らかにした。それを受けたパートナー側の思惑とは――。
パートナーにとってもビジネスモデルの大転換
6日の会見では、すでに国内で30社以上が登録しているMicrosoft Online Services認定パートナーから、ウチダスペクトラムの町田潔社長と、日立システムアンドサービスの眞木正喜執行役専務が登壇し、ビジネス拡大への思いを語った。
ソフトウェアリセラーとしてマイクロソフト製品の企業向け販売に豊富な実績を持つウチダスペクトラムの町田社長は、「われわれにとってもビジネスモデルの大転換になる。BPOS導入支援サービスをはじめ、これまで当社が提供してきたソフトウェア資産管理サービスなどもオンラインに広げていくが、もっといろんな提案ができると考えている」と語り、予想される事例をこう紹介してみせた。
「例えば、グローバルに事業を展開する大手企業では、本社部門のシステムはオンプレミスでこれまで通り確実に運用し、激動する世界の経済情勢によって頻繁に変化する各事業拠点のIT利用はオンラインで柔軟に対応していくと。こうしたケースがどんどん出てくるのではないか」
また、システムインテグレーターとしてマイクロソフト製品への取り組みに豊富な実績を持つ日立システムアンドサービスの眞木執行役専務は、「Microsoft Online Servicesの開始によって、顧客にとってのデファクトであるマイクロソフトの技術をより柔軟に利用していただけるようになった。BPOSについては構築をはじめ、オンプレミスからの移行、および連携を図るサービスを展開していく」と語り、今後の自社の“立ち位置”をこう表現してみせた。
「当社も時代の変化に伴って、オンプレミスとオンラインサービスを両方展開できるハイブリッドなシステムインテグレーターとして活躍していきたい」
もちろん、会見で登壇した両社は、パートナーとしてマイクロソフトにエールを送るとともに、自らの事業への意気込みを語る立場だが、両氏の言葉にはMicrosoft Online Servicesにおけるパートナービジネスの成功をイメージさせる説得力があった。
マイクロソフトのパートナービジネスに詳しい業界関係者がこんな話をしてくれた。
「マイクロソフトはMicrosoft Online Servicesでも販売奨励金を出すなど、これまでのパートナービジネスの仕組みの維持・拡大に努めている。パートナーもサービスの仕組みが分かってくるとともに、これは十分商売になると感じ始めており、モチベーションは高まっている。ひょっとしたら、オンラインサービスが加わったことでマイクロソフトがパートナーにもたらす経済効果は、これまでよりさらに大きくなるかもしれない」
はたして、1ドルと7ドルの関係はどう変わるのか……。
プロフィール
まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。
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