秋田県下の8大学、H.264-SVCを利用した遠隔教育システムを構築:品質維持を重視
秋田大学など秋田県内の8大学は、ネットワーク帯域の変化に強いH.264-SVC技術を利用した遠隔教育システムを構築した。
秋田大学など秋田県内の8大学で組織する「大学コンソーシアムあきた」はこのほど、動画圧縮符号化方式のH.264-SVC方式を採用した遠隔教育システムを構築した。構築を支援した映像会議システムサービスのVTVジャパンが発表した。
構築したシステムは、米Vidyoが開発した映像会議システムをベースに、PCやハイビジョンカメラ、書画カメラ、ビデオプレーヤー、プロジェクターなどと接続できるもので、配信設備を拠点となる「カレッジプラザ」に設置した。各校とは光ファイバや地元ケーブルテレビ局のインターネット回線で接続され、学校側ではWebブラウザにプラグインソフトをインストールするだけで視聴できる構成となっている。
大学コンソーシアムあきたでは、2004年にオープンソースなどを活用した遠隔教育システムを構築したが、ハイビジョン映像に対応できない点やネットワーク帯域の劣化具合によって十分な映像品質を得られないといった課題を抱えていた。
今回はH.264-SVC方式に対応したシステムにすることで、品質の安定化や臨場感の向上、多彩な教育機材の利用に対応した。H.264-SVC方式は、帯域状態に応じて動画像や音声などの品質を自動的に制御するプロファイルを持つため、低帯域でも映像の乱れや音声の中断などを回避できる。
構築に際しては、約1カ月間にわたってシステムの連続稼働やネットワーク帯域の激しい変化に対する影響などを検証した。構築費は約1200万円になるという。
大学コンソーシアムあきたでは、秋田大学と秋田県立大学(2キャンパス)、国際教養大学、ノースアジア大学、秋田公立美術工芸短期大学、日本赤十字秋田短期大学、聖園学園短期大学、秋田工業高等専門学校の8校9拠点を接続して、10月から週1回程度の遠隔授業を始める予定。将来は県内の高等学校とも接続し、高校生を対象にした体験授業も計画している。
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